「現場監督がうつになった」昔からよく聞く話ですが、最近ますます増えている状況にあります。
私もうつの症状を経験した一人です。
厳密に言えばうつ病ではなく「双極性障害」を発症したのですが、原因は間違いなく現場監督の仕事です。
もともと楽観的な人であっても、現場のトップを任せられていくうちにプライベートもメンタルも仕事に支配されていき、 責任感からくる逃げ場のないストレスを抱え込みむことで、うつ病などの精神疾患に陥ってしまいます。
今回この記事では、現場監督がストレスを抱え込む原因、メンタルに不調を感じた時の対処法や仕事に支配されない考え方までお話していきます。
現場監督という仕事が辛い、心が苦しい方に向けて書いていきます。
「責任の終着点」現場監督がメンタルを病む原因
「現場監督は現場の最高責任者」
聞こえはいいかもしれませんが、けっきょくは現場で起こったすべての責任を負わされる立場です。
理不尽な出来事も、戦えば迷惑がかかる、逃げても迷惑がかかる、現場監督がすべて矢面に立ち、すべてに対処し責任をとらなくてはなりません。
現場監督がうつ病になりやすい原因は主につぎの3つです。
- 支援を受けられない
- 責任感の強さと真面目さ
- 人間関係の板ばさみ
どんな仕事にも合う合わないがあるように、もしかしたら現場監督という仕事が向いていない可能性もあります。
だから、自分にはどんな仕事が合うのか適正診断を受けてみるのも重要です。
参考記事:現場監督を辞めて次は何をする?年収や勤務時間より大切!自己分析のお話
ぼくも適正診断をしてみましたが、現場監督とはまったく違う職種が合うそうです。そして転職をしました。
現場監督を助けてくれる人はいない
会社員であるにもかかわらず、チームで仕事をすると言うよりフリーランス的な要素が強い現場監督。
しかし、規則やルールの縛りは他の会社員と変わりません。
発注者や会社は、利益、工程、品質、安全、成績などを現場監督に要求してくるだけで、現場が困っている状況でも助け船を出してくれることはありません。
事故やトラブルが起きたとき、発注者からは責任を追及され、会社は報告を求めるだけ。
だから、現場監督は誰にも頼ることができず、ひとりで責任とストレスを抱え込むことになるのです。
責任感でプライベートを犠牲にするようになる
ひとたび現場のトップに就くと、仕事とプライベートの境界線があいまいになり、仕事のために自分の時間を犠牲にするようになります。
工期が遅れている場合や工程を早めたい場合、躊躇なく休日を犠牲にします。
家に居るときも、つぎの工程や現場の状況が気になり、気がつけば仕事のことばかりを考えている状況に陥ることも。
家にいても休まらないと感じていませんか?
責任感が強く、真面目な性格は時として、自分や家族を犠牲にしています。
理不尽、不合理なことも呑み込む
現場監督が働く建設業界は「本音と建前」で言うと「建前」の部分が強い。
しかし、すべてを建前で進めることは不可能であるため、どうしても道理が通らない「理不尽さ・不合理さ」が出てきます。
この理不尽さや不合理さを現場監督が呑み込み、本音を建前に変換、建前を本音に変換しているのです。
発注者は建前を好み、協力業者や地元は本音で話をします。
なので現場監督は四方八方から板ばさみになり、常に消化しきれない矛盾を抱え込むことでメンタルを病んでしまうのです。
メンタルに不調を感じたときの対処法
つぎのような症状があるときはメンタルが不調である可能性が高いです。
- やる気がでない
- イライラする
- 不安になる、落ち着かない
- 電話など突然の音にビックリする
- 食欲がない、美味しくない
- 寝つけない、夜中に目が覚める
- 憂うつ
- 人に会いたくない
- 体が重たい、痛い
理由もなくこのような症状が見られるときは、ストレスが限界にきている証拠です。
精神疾患を抱えると、仕事はおろか普通の日常生活を送ることが難しくなります。
メンタルの不調を感じたら、うつ病などの精神疾患を発症する前に早めに対処することが大切です。
病院を受診する
メンタルに不調を感じたら早めに受診することが大切です。
「もう少しで現場が終わる」「もうすぐ退職する」ならともかく、つらい状態をそのままにしていても症状が改善することはありません。
ちゃんとした医師に診てもらえば適切なアドバイスだったり、薬を処方してもらえます。
どんな病気にも言えることですが、早期に治療を開始すれば治るのも早くなります。
病院に行くことに抵抗があるかもしれませんが、精神科も診療内科もふつうの病院と変わりませんので安心してください。
ただ、医師のなかには「ヤブ」も存在しますので、「この先生とは合わないな」「一方的で話を聞いてくれない」などの場合には、担当医を代えてもうらうか違う病院に行きましょう。
ぼくも病院を代えた経験があります。
精神科や診療内科はけっこう混雑しているため、行ってすぐに診察を受けられないこともあります。
ネットや電話で予約をしていくことをおすすめします。
第三者に相談する
メンタルに関する悩みは身近な人には相談しにくいですよね。
とくに家族には心配をかけたくないと思います。
病院を受診できないときは、メールや電話で相談できるオンラインカウンセリングを利用してください。
誰かに聞いてもらうだけで心はスッと軽くなります。
心理カウンセラーのぼくが選んだオススメの「オンラインカウンセリング」をご紹介しておきます。
\つらい時いつでも相談できるアンレース/
仕事に支配されない考え方
当たり前の話ですが「人生は有限」です。
現場監督は素晴らしい仕事です。ですが限りある人生を仕事だけに費やすなんてもったいないですよね。
人が存在する理由なんてありませんが、だからこそ楽しく生きることが正解なのです。
ここからはざっくりとした「仕事に支配されない考え方」をご紹介します。
- 完璧主義をやめる
- まっ!いいか!
- ムリしない
60点でOK!完璧主義をやめましょう
現場監督に限らず、日本人の多くは完璧主義の方が多いと思います。
しかし、完璧主義は時間ばかりがかかってしまい、大した成果が得られません。
あれもこれもとやる前に、本当に必要なところまでで留めておきましょう。
60点で仕事を仕上げ、さっさと手放すようにすれば、仕事はどんどん捗ります。
なので今日から完璧主義をやめて「良い加減(いい加減)」になることをおすすめします。
悩むのをやめて考える、そして「まっいいか」
人生も仕事も悩みが付き物。
ですが悩んでいても何も解決することはなく、時間のムダです。
どんなことでも「何とかなる」こともあれば、「どうにもならない」こともあります。
悩むことをやめて、自分のアタマで考える。そして最終的には「まっいいか」で乗り切りましょう。
病気になっても会社は助けてくれない、だからムリをしない
私はけっこうホワイトだと思う会社に勤めていますが、私がうつ状態で休職したときに何の助けも保障もありませんでした。
休職の際の「傷病手当金」は社会保険から支給される保障ですが、給料の7割ほど。
会社からの保障はゼロ。
なので会社としては、社員がメンタルを病んで休職しても、人手が減るだけで損することはありません。
しかしメンタルを病んだ本人はどうでしょう。
給料の7割では今までの生活は送れないし、ましてや傷病手当金が支給されるのは数カ月後になります。
仕事を一生懸命にして、メンタルを病んだ人が一番損をするのです。
だから仕事とは言え、会社のため、発注者のために頑張るのはやめましょう。
日々、メンタルを整える方法
必ず月に1回は2、3日の連休を取る
現場が忙しくなると、休みは日曜日だけになることが多いですよね。
少しでも工程を進めておきたい、遅れを取り戻したいと思う気持ちが強くあると思いますが
「命と工期」どちらが大切ですか?
月に一回ぐらい2、3日の連休を取ったって問題ありません。
ゆっくり休めるように現場を休工にして連休をとり、自分の好きなことに時間を使うようにしましょう。
早出、残業はしない
現場が心配だったり、書類に追われて早出や残業をする現場監督を多く見かけます。
ぼくもそうでした。
早出も残業も1週間ぐらい続けていたら感覚がマヒしてきて慣れてしまいます。
ですが、ゆっくりと確実に疲労とストレスは溜まっていきます。
日中の時間の使い方を見直して、書類などの事務仕事は現場の合間を縫って行うようにしましょう。
それとムダを極力なくすこと。
書類を作っていたら、装飾に時間をかけたり余分なバックデータとなる資料などを作ってしまいがちですが、書類なんてわかればいいのでキレイに作ったりする必要はないのです。
検査が終わったらもう二度と見ることがない書類に時間をかけるのはやめましょう。
早出や残業をやめて、自分の時間を確保することが大切ですね。
休憩時間はしっかりと休憩する
昼休憩にもかかわらず、パソコンをカタカタつついていませんか?
YouTubeやネットショッピングとかならいいですが、昼休憩に仕事はやめましょう。
12時になったら昼食をとり、残った時間はリラックスして過ごしましょう。
車の中で昼寝をすることをおすすめします。
車の中は一人の空間なので、誰にも邪魔をされずにゆっくりと昼寝を楽しむことができます。
生活のリズムを整える
夜中にダラダラとスマホを見ていたり、夜食を食べたりしていませんか?
生活のリズムが狂うと体調にもメンタルにも悪影響を及ぼします。
特に寝る前のスマホや夜食は、影響が顕著に表れます。
スマホから発せられるブルーライトは脳が昼間だと錯覚して睡眠を乱す原因になり、夜食は寝ている間も胃腸が働くため浅い眠りになる原因になります。
決まった時間に寝て、決まった時間に起きる、決まった時間に食事をとる、たったこれだけのことをするだけで良質な睡眠を得ることができます。
実は人間の体内時計は25時間だと言われています。
なので何もしない状態だと、実際の時間と体内時計が狂ってしまいます。
毎朝同じ時間に朝日を浴びることで脳を刺激して体内時計をリセットしましょう。
また太陽光には、心の安定に欠かせないセロトニンと言う脳内ホルモンの分泌を促進する働きがあり、うつ病などの精神疾患の予防に効果があるとされています。
趣味など楽しい時間を持つ
仕事にのめり込み過ぎる人は、決まった趣味などがないため「早く帰ってもやることがない」「休んでもすることがない」なんてことが多く、すべて仕事を軸に物事を考えてしまいます。
誰にでもやりたいことの一つや二つはあるものです。
自分なりの楽しい時間を見つけ出して、仕事中心の生活を変えていきましょう。
いよいよメンタルの限界を迎えたときは
働き方改革で現場監督の労働環境も徐々に改善されているとは言え、建設業界は異質でブラックな面が多々あります。
うつ病などの精神疾患を抱える前に対処することが大切です。
しかし、責任感が強く真面目であるがゆえに、メンタルの不調さえも「自分の甘えではないか」と思ってしまい、結果的にうつ病などの精神疾患を発症してしまう人も多いです。
メンタルを病んだ状態だとまともな思考はできなくなります。
「逃げる」という選択があるにもかかわらず、最悪の場合、自死を選んでしまう人も。
もし、この記事を読んでいるあなたがメンタルの不調や限界を感じているなら、迷わず「逃げる」ことを選択してください。
逃げ方は3つあります。
- 休職する
- 転職する
- 退職する
とりあえず休職を選択する
退職や転職を考える前に休職するという選択肢があります。
転職・退職する、と考える前に2~3ヶ月間、いやもっと長くてもいいです、休職を考えてみてください。
休職中に元気に回復すれば幸いですし、もし回復しなくてもつぎのことを考えられる猶予ができます。
休職中は欠勤扱いになって給料はでないかもしれませんが、後で申請すれば給料の7割ほどの傷病手当金が受け取れます。
傷病手当金の申請には診断書が必要ですので、病院を受診して診断書をもらっておきましょう。
合った仕事と合った会社に転職する
今あなたの勤めている会社は、もしかしたらブラックかもしれません。
なので転職をしたら生活が一変して、楽しいものになる可能性もあります。
現場監督はどこも人手不足で、どこの建設会社も欲しいと思っています。
現場監督は若さよりも資格と経験が重要視されますので、40代でも50代でも転職が簡単にできます。
まずは転職支援サイトなどに登録して、現場監督に限らずキャリアを活かせる仕事や自分の市場価値を調べておくことが大切です。
メンタルが限界!すぐに退職を
現場監督は責任感の強さから、逃げ出すと言う選択肢を持っていません。
なので過労で倒れたり、メンタルを病み「自死」を選ぶ方も。
そうなる前にまずは退職をして、後のことは失業保険や退職金で生活しながらゆっくり考えても遅くはありません。
自分から退職の意志を伝えられない場合には、退職代行のサービスを使いましょう。
「退職代行を使うなんて卑怯だ」なんて言ってくる人もいますが、気にすることはありません。
だってその人は、あなたの人生に何の責任も持ってくれませんから。
<現場監督にあった退職代行をご紹介>
【まとめ】そもそも現場監督という職種が合っていないかも
現場監督の仕事は自分のペースで仕事をしているようで実は発注者や地元、会社などに振り回される仕事です。
どんな仕事にも合う合わないがあるように、もしかしたら現場監督という仕事が向いていない可能性もあります。
だから、自分にはどんな仕事が合うのか適正診断を受けてみるのも重要です。
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ぼくも適正診断をしてみましたが、現場監督とはまったく違う職種が合うそうです。まっそうですよね。
合わない仕事を何十年も続けていくよりも、自分の適性に合った仕事を見つけていったほうが幸せになれます。
ストレスを抱え込んでも何一ついいことなんかありません。
メンタルを病んだ経験から言えば、うつ病などの精神疾患を一度抱えてしまったらもう治ることはありません。
この記事を読んでいる皆様には同じ経験をして欲しくありませんので、ぜひ早め早めの対処をして頂きたいと思います。