バーベキューが好きでけっこうな頻度でするなら「U字溝でしょ!」ってことで、U字溝の買おうとしているならちょっと待ってください。
確かにU字溝は便利。ですが、おおきなデメリットもあります。
なので、U字溝のデメリットを納得した上で購入しないと後悔することになりかねません。
この記事では『U字溝コンロのメリットとデメリット』や『バーベキューに適したU字溝の大きさ』、『U字溝をうまく使うコツ』を解説していきます。
国家資格である「一級土木施工管理技士」としての視点とベーベキュー好きのおっさんの視点、この両方からU字溝の正しい知識を共有したいと思います。
U字溝をバーベキューコンロとして導入する前に読んで、ぜひ参考にしてください。
バーベキューにU字溝コンロを使うメリット
U字溝は値段が安く、外に出しっぱなしでも大丈夫なので、庭でのバーベキューが手軽にできます。
ここでU字溝のメリットをまとめました。
- 価格が安い
- 雨ざらしでも大丈夫
U字溝は安い
バーベキューに丁度いいサイズのU字溝は、ホームセンターで千円台で購入できます。
同サイズのバーベキューコンロを購入しようかと思えば5,000円~10,000円はしますので、U字溝コンロはコスパ最強と言えるでしょう。
雨ざらしでも大丈夫
U字溝は外で使うコンクリート製品ですから、対候性、耐久性はバツグン。
一般的にコンクリートの耐用年数は50年と言われています。いくら雨風にあたっても、いくら日光にあたっても大丈夫です。
スチール製やステンレス製のバーベキューコンロは、バーベキュー後の水洗いなどのお手入れが必要ですが、U字溝なら灰を捨てるだけ。
水洗いも掃除も必要ありません。
外に投げっぱなしにしていてもコンクリートですからサビることもありませんし、そうそう劣化することもありません。
U字溝をコンロとして使うデメリット
U字溝は水を流すための水路です。
なので、バーベキューコンロとして優秀だとは言えません。
これから解説するデメリットを見てもらって、メリットよりデメリットが大きいと感じたら普通のバーベキューコンロの購入をおすすめします。
U字溝をバーベキューで使うとなると様々なデメリットがあります。
- 重たい
- 耐熱性・耐火性に乏しい
- 深い
- 熱が逃げる
- 処分に困る
ひとつずつ深掘りして解説していきます。
べらぼうに重たい
コンクリートですからね、重たいのは当然です。
バーベキューで使うサイズでも30kg超はあります。
成人男性ひとりがやっと持ち上げて移動できるレベルだと考えてください。数メートル動かすぐらいならできますが、何十メートルともなるとイヤになります。
重たい物を持ち慣れてない方は腰がダメになるでしょう。
ましてや車に積んでキャンプ場まで運んだりするのは現実的ではありません。
耐熱性・耐火性に乏しい
U字溝に限らず、コンクリートは熱や火に弱い性質があります。
コンクリートなので燃えたり溶けたりすることはありませんが、確実にコンクリートの強度は低下します。
詳しいことはつぎの章『U字溝は爆発する?U字溝コンロのウソ・ホント』でお話しますが、熱や火でひび割れたりボロボロになったりします。
U字溝は深い
U字溝のサイズは「内幅=深さ」です。
たとえば、内幅が18cmだと深さも18cm。焼き面を広くしようかと思えば深さも深くなってしまうので、炭火から焼き網までの距離が遠くなってしまい、食材がうまく焼けないことも。
火力を強くしようと思えば、必要以上に炭を消費してしまいます。
熱が逃げる
一般的なバーベキューコンロはちゃんと四方が囲まれているので、炭火の熱がムダにならず食材を上手に焼くことができます。
しかし、U字溝は両サイドがガラ空きなので熱が外側に逃げてしまいます。
「熱が逃げる問題」と先ほどの「炭火から焼き網までの距離問題」が、U字溝をコンロとして使う際の最大のデメリットになります。
この2つのデメリットは解決策があるのであとでご紹介します。
処分に困る
自治体によりますが、コンクリート製品は「不燃ゴミ」や「不燃粗大ゴミ」では回収してくれません。
コンクリートを処分してくれる専門業者に持ち込むか、引き取りに来てもらう必要があります。
費用は持ち込みの場合でも数千円、引き取りの場合だと1万円は超えるものと考えておいた方が良いです。
処分費のことを考えると、スチール製やステンレス製のバーベキューコンロを購入したほうが最終的には安くなるかもしれません。
参考記事:【やっぱり炭火!】庭にピッタリ!バーベキューコンロおすすめ25選|煙の少ないタイプも
「U字溝は爆発する?」U字溝コンロのウソ・ホント
U字溝をバーベキューコンロとして導入を考えていると、つぎのような話を聞いたことがあると思います。
- U字溝を加熱すると爆発する
- U字溝の外側まで熱くなりヤケドをする
この二つのうわさ話を土木技術者として検証していきます。
U字溝を加熱したり水をかけたりすると爆発する?
結論を先に言うと「U字溝は爆発しない」です。
ほかのサイトを読むと
- U字溝は加熱すると爆発する
- 加熱したU字溝に水をかけると爆破する
理屈は、U字溝の内部の水分や空気が過熱により膨張して爆発的な破壊が生じると言うのもです。
U字溝は加熱しても爆発しない
確かにコンクリート内部には水分も空気もあります。熱により膨張するのも事実です。
ですが、U字溝に使われているコンクリートは、爆発するまでの圧力に耐えられるだけの強度はありません。
熱による爆裂がおきるのは、橋げたや高層ビルなどに使われる「強度36N/mm2以上の高強度コンクリート」の場合です。
U字溝に使われるコンクリートの強度はせいぜい24N/mm2。
U字溝の厚みは4~5cmほどです。そもそもこの薄い部材の中に爆発するだけの圧力をため込むことはできません。
コンクリートは500℃以上に加熱されると、約50%強度が低下します。U字溝内部の水分や空気が熱で膨張しても、コンクリートの強度低下や乾燥によりひび割れが生じて圧力は抜けてしまい、爆発することはありません。
それに、U字溝の中には鉄筋が入っています。ネット上に「爆発して破片がバラバラに飛び散った」とありますが、なかなか考えにくいと思います。
熱くなったU字溝に水をかけても爆発しない
バーベキュー後「熱いU字溝に水をかけたら爆発した!」と目にすることがあります。
コンクリートや鉄、ガラスなどの硬い物質は、熱を加えると膨張し冷やすと収縮する性質を持っています。
コンクリートでも鉄板でもガラスでも硬い物質には柔軟性がないため、急激な膨張や収縮により割れることがあります。しかし、爆発することはありません。
とくにコンクリートは圧縮には強いけど引っ張りには弱い特徴があり、熱によって強度が低下します。
U字溝をバーベキューコンロとして使い続けると、ひびだらけでボロボロになっていきます。
ネット上の爆発した事例はなに?
コンクリートでバーベキューをしていたら突然爆発して破片が飛び散った!
この爆発事例、U字溝かと思いきや、コンクリートの土間や床版の上でバーベキューをしていた事例ですね。
土間コンクリートや床版コンクリートの表面は、人の手でキレイに仕上げがされていて、コンクリート内部の水分や空気が抜けにくく緻密な状態。
しかも、面積が広かったり土に埋まっていたりするので熱による膨張が拘束され逃げ場がなく、解放された空間に向かって表面が破裂することがあります。
土間コンクリートや床版コンクリートの上で直火のバーベキューは避けた方が無難。と言うか、なんで直火でバーベキューをしたのか理解不能です。
熱によって小さな破片が飛ぶことがある
コンクリートを加熱すると「パチッ」と小さな破片が飛んでくることがあります。
U字溝のごく表面に近い場所にある気泡が膨張して、コンクリートの薄皮を飛ばしてしまう現象ですね。
U字溝の30cmぐらいまで顔を近づけなければ大丈夫。まっU字溝の場合、熱が当たるのは内側ですから特に問題はないでしょう。
ただし、ガストーチでコンクリート表面を加熱したりして遊ばないようにしてください。コンクリートの破片が目に入ったら大変ですから。
U字溝の外側まで熱くなりヤケドをする
当たり前ですね。
「U字溝の外側まで熱くなりヤケドをする」にどんな意図が隠されているかわかりませんが、どんなバーベキューコンロも熱くなります。
だからどんなバーベキューコンロも触れば熱いですしヤケドをする可能性はあります。
ちなみに、バーベキューコンロの素材別熱伝導率は
- スチール:55W/㎡K
- ステンレス:15W/㎡K
- コンクリート:1.6W/㎡K
金属に比べてコンクリートは熱を伝えにくい。すなわち熱くなりにくい性質があります。
U字溝コンロだからヤケドをするなんてことはありません。どれもヤケドはします。
U字溝はどれを選べばいいの?大きさ選びのポイント
U字溝とはコンクリート製の水路のことで、様々なサイズや形が存在します。
バーベキューで使われるU字溝は「上ぶた式U型側溝」と呼ばれる長さが60cmのものが一般的。
上ぶた式U型側溝にもサイズがあります。
上ぶた式U型側溝のサイズ表
呼び方 | 内 幅(mm) | 深 さ(mm) | 重 量(kg) |
150 | 150 | 150 | 24 |
180 | 180 | 180 | 33 |
240 | 240 | 240 | 55 |
300A | 300 | 240 | 70 |
300B | 300 | 300 | 79 |
300C | 300 | 360 | 92 |
360A | 360 | 300 | 91 |
360B | 360 | 360 | 100 |
450 | 450 | 450 | 133 |
600 | 600 | 600 | 216 |
コンクリート製の水路の呼び方は内幅で呼びます。
バーベキューに適したサイズは?
バーベキューで使えるサイズは重さから考えて「150~240」、長さは60cmが妥当なところ。
これ以上大きくなると70kgを超えるので、とても人の手では運べなくなります。
バーベキューの参加人数で選ぶ
150、180、240の3サイズの中から参加人数で選んでいきますが、焼き面積で考えるとわかりやすいです。
だいたい一人当たりの焼き面積は300㎠です。
呼び方 | 焼きサイズ | 焼き面積 | 参加人数の目安 |
150 | 15×60cm | 900㎠ | 1~3人 |
180 | 18×60cm | 1080㎠ | 2~4人 |
240 | 24×60cm | 1440㎠ | 3~5人 |
ちなみに上の写真のわが家のU字溝は180サイズです。
育ち盛りのお子さんやモリモリ食べる男性がいる場合は大きめを選んだり、人数が6人以上になるなら2つ連結して使えばOKです。
ただ、240サイズでも55kgと重たいので、力に自信のない方は素直に普通のバーベキューコンロを購入したほうがいいかと思います。
下の参考記事でバーベキューコンロの選び方やおすすめのバーベキューコンロをご紹介しています。
参考記事:【やっぱり炭火!】庭にピッタリ!バーベキューコンロおすすめ25選|煙の少ないタイプも
あとひとりバーベキューや少人数の場合は「七輪」という選択もありますよ!
参考記事:秋の夜長にひとりバーベキュー!「七輪で肉を焼いて食う」ただそれだけで極上の夜になる
U字溝をバーベキューコンロとしてうまく使うコツ
U字溝をコンロとして使う際の最大のデメリットは
- 炭火から焼き網までの距離
- 熱が横から逃げる
この2つのデメリットを解消できれば、ストレスなくスムーズにバーベキューを楽しむことができます。
ここではデメリットの解消方法やちょっとしたコツを解説します。
火床(ロストル)で底上げすれば一石二鳥
火床(ロストル)とは、炭や薪を置く台のこと。
下に隙間を作り、空気の通り道を作ることで炭や薪の安定した燃焼を助けてくれます。
U字溝の場合、下がただの面なので空気の通り道がなく、炭火の燃焼効率が悪いためなかなか温度が上がってくれません。
それに、底から焼き網までの高さ(深さ)も150サイズで15cm、240サイズで24cmもあるため、炭火の熱が食材に届きにくくなり、食材が焼けてくれません。
バーベキューコンロで食材が焼けないなんて致命傷です。
火床を設置すれば、空気の通り道もできるし炭火から食材の距離が近くなります。一石二鳥ってことですね!
火床を安く簡単に作る方法は「焼き網」を使うことです。
ホームセンターや100均の安い網でOKなので、それを側溝の内幅に合わせてニッパーで切れば簡単にできます。
U字溝は上幅より下幅のほうが狭くなっています。コツは設置したい高さの幅を測って、それより少し幅広く切ること。
切る道具がなかったら折り曲げてもOK。
焼き網はたわむので少し幅広くても押し込めば入ります。
ギュウギュウに押し込んでおけば、炭を置いたときにズレたり落ちたりすることもありません。
U字溝の両サイドをブロックかなんかでふさぐ
空いているならふさげばいい。めっちゃかんたんですね。
ブロックやレンガでふさげばOKです。
U字溝240サイズならレンガ(21cm)が内側に入りますので、両サイドに3つずつ重ねればふさぐことができます。
焼き網は分割にしたほうが使いやすい
焼き網を2分割にしたら使いやすくなります。
なぜなら、炭を追加するときに全部よけなくてもいいから。
載せている食材を片方に移動すれば、かんたんに火ばさみや割りばしで網をよけられるので炭の追加がラクにできます。
ちょっとした工夫ですが知っているのと知らないのでは快適さに差がでます。
ちなみに、U字溝別の網のサイズ(参考)は
U字溝の網サイズ
呼び方 | 外寸(外幅) | 2枚敷の場合 | 1枚敷の場合 |
150サイズ | 21cm | 21×30cm×2枚 | 40×60cm |
180サイズ | 25cm | 30×30cm×2枚 | 40×60cm |
240サイズ | 33cm | 45×30cm×2枚 | 40×60cm |
要は、外寸より大きければ問題ありません。ですが、アホみたいに大きいとひっくり返る原因になります。
いま話題の鉄板という選択もあり
別の記事で解説しているので詳しくは話しませんが、網から鉄板にするとバーベキューの可能性が広がります。
U字溝×鉄板は安定しているので相性はバツグンだと思うので、機会があればぜひチャレンジしてみてください。
下の記事でちょー詳しく解説しています。
【まとめ】どうする?U字溝バーベキュー
長々と解説してきました。
ぼく個人の意見は、バーベキューにU字溝はおすすめしません。
なぜなら、大きくて邪魔だし、めんどくさいから。
子どもが小さいときは家族でワイワイバーベキューをしてましたけど、あれから10年、U字溝の出番はありません。
今ではしっぽりと七輪でひとりバーベキューを楽しんでいます。
あっ!意外と七輪もめんどうがなくていいですよ。