- 「焚き火と薪ストーブ、どっちが暖かい?」
- 「料理にはどっちのほうが使いやすい?」
- 「結局、寒いキャンプにはどっちがオススメなの?」
と悩みますよね。
実はキャンプで焚き火と薪ストーブの選定を間違えると、楽しめないどころか泣く泣く撤収することになりかねません。
なぜなら、キャンプはアウトドアで行うものだからです。
ぼくは小学生の時からキャンプをはじめて30年以上。焚き火と薪ストーブのメリット・デメリットを把握し、使い分けて楽しんでいます。
今回この記事では、焚き火と薪ストーブの違いやメリット・デメリットを解説します。
この記事を読めば、キャンプに焚き火と薪ストーブのどちらを選べばいいのかわかります。
結論を先に言っちゃえば「薪ストーブ」を持って行けば間違いありません。薪ストーブを持って行けば天候に左右されることなく、オールマイティに使えます。
焚き火と薪ストーブなにが違う?
焚き火は炎をダイレクトに味わえる、薪ストーブは機能面に優れているなど、同じ薪を燃料にする焚き火と薪ストーブとでは大きく異なった特徴があります。
特徴が大きく異なるがゆえに選定を間違えると
- 料理がうまくできない
- 暖が取れない
- そもそも使えなかった
など、キャンプの失敗に繋がるのはもちろんのこと、ヤケドや火災のリスクも高くなります。
なので、焚き火と薪ストーブのメリット・デメリット(つぎの章で解説)をよく理解して、自分のキャンプスタイルに合った選定が大切です。
それでは特徴の違いを見てみましょう。
焚き火の特徴
現在のキャンプでは焚き火台を使用するのが一般的。
炎の暖かさや灯かり、「1/fゆらぎ」の癒しの効果をダイレクトに感じられることから、焚き火をするためにキャンプをしている方もいるほど人気のあるスタイルです。
ただ
- 「火が消えてしまう」
- 「煙だらけで燃えてくれない」
- 「火の粉が飛ぶ」
など、コントロールが難しい一面もあります。
天候に大きく左右されるので常に雨風の準備が必要ですし、雨の日や風が強い日は断念せざるを得ない場合もあります。
薪ストーブの特徴
薪ストーブは、煙突や空気口がある薪を燃焼させるための暖房器具です。
煙突があることで排煙や燃焼効率が良く、安定した燃焼効果があります。
暖を取るために使うのはもちろんのこと、ダッチオーブンなどの重たい器具を天板の上に載せて調理を楽しむのにも適しています。
金属の箱のなかで薪を燃やすので、天候に左右されず炎が上がったり火の粉が飛ぶなどの心配が少なく、タープの下はもちろん、テントの中でも使えるのがポイント。
ただし、テントの中で使う場合にはリフレクター(反射板)を使ってのテントの保護や煙の逆流、一酸化炭素中毒の防止などの対策が必須です。
焚き火と薪ストーブを完全比較
まずは焚き火、薪ストーブの違い、メリット・デメリットを比較してみましょう。
わかりやすいように表にします。
\焚き火・薪ストーブの比較表/
項 目 | 焚 き 火 | 薪ストーブ | ||
---|---|---|---|---|
設備・導入コスト | 5 | 焚き火台 2千円台~2万円台 | 薪ストーブ 2万円台~10万円台 | |
炎のコントロール | 3 | 難しい | 4 | かんたん |
煙・スス | 多い | 4 | 少ない | |
暖かさ | 5 | ダイレクトに暖かい | 4 | 他の暖房器具より優れ、焚き火には劣る |
料理のしやすさ | ファイヤーラックなどの台が必要 | 5 | 天板にそのまま載せられる | |
対候性 | タープ下、テント内での使用が難しく、天候に左右される | 5 | よほどの悪天候以外は使える | |
危険性 | 3 | 火災のリスクがある | 3 | 一酸化炭素中毒のリスクがある |
総合得点 | 16点 | 25点 |
設備・コストの比較
設備・導入コストに関しては焚き火が圧倒的に有利です。
設備面の違い
焚き火台は、薪ストーブに比べサイズが小さく、折りたたみ式、組立式のコンパクトに収納できるものが多くあります。また、置くだけなので準備、片付けも楽。
一方で薪ストーブは、キャンプギアの中でも比較的大きな部類に入ります。
本体に加え、煙突も必要。車のスペースに余裕がないと、キャンプに持って行くことはできません。
組み立ても煙突を繋げていくだけと言いながらも、焚き火台と比べれば手間と時間がかかるのは確かです。
コスト面の違い
焚き火台にかかる費用は高くても2万円ほど。焚き火台はバーベキューコンロとの兼用やペール缶などの廃材でDIYもできるので、導入費用は安く抑えられます。
キャンプ用の薪ストーブは平均6万円前後。
テント内にインストールする場合には、追加の煙突や煙突ガード、固定する部品などが必要になり、導入コストが上がります。
炎のコントロールの比較
炎のコントロールとはつぎの3つです。
- 火のつけやすさ
- 火力の調整
- 薪の燃焼時間
炎のコントロールがしやすいのは薪ストーブです。なぜなら、薪の燃焼に必要な「熱」を蓄え、空気量を調整できるから。
薪を上手に燃やすためには「空気」と「熱」が欠かせません。
薪ストーブは金属製の箱の中で燃焼させることから熱を蓄えることができ、熱で発生したドラフト(上昇気流)によって空気を取り込む構造になっています。
薪ストーブは空気口を開けたり絞ったりすることで取り込む空気量を変えることができるので、火力の調整や薪の燃焼時間のコントロールがしやすいです。
一方で焚き火は、常に外気にさらされているため空気量は十分あるのですが熱を蓄えることができません。燃焼に必要な熱を確保するには、薪を投入し続けることによりある程度の火力を維持するしかありません。
なので、焚き火は火のコントロールが難しく、薪の消費量が多くなります。
煙・ススの比較
燃焼温度が低いと煙やススが多く発生します。
煙やススは燃え尽きなかった炭素が原因。
薪から出る炭素が燃えるためには、薪表面の燃焼温度が450℃以上必要です。先ほどの「炎のコントロール」に関連する話ですが、焚き火は外気にさらされている分、燃焼温度が上がりにくいため、煙やススが多く(常時)発生するというわけです。
また、煙やススが焚き火特有の「焦げ酸っぱい臭い」の原因なので、風向きが自分やテントに向かっていると焚き火臭が染みつくことに。
それに煙たいし目に沁みますよね。
その点、薪ストーブは、燃焼温度が上がりやすく保ちやすいので煙やススの発生を最小限に抑えることができます。また、煙突がある分、煙が出ても頭上から放出されるので煙の影響は少ないと言えるでしょう。
あと盲点なのが鍋や鉄板などの調理器具の汚れです。
焚き火調理の場合、直火なのでススが調理器具の底や側面に付着します。焚き火台自体の片付けは楽なのですが、調理器具のスス汚れを落とすのは結構手間ですよね。
たしかに・・・。服やほかのキャンプギアも汚れることもあるよね。
薪ストーブは天板の上で調理をするので鍋や鉄板が汚れることはありません。
暖かさの比較
暖かいのは焚き火です。
なぜなら、炎の熱を遮断するものがないから。
薪ストーブの燃焼温度は高いですが、これはあくまで炉内の話です。薪ストーブは金属製の板で囲まれている分、周囲に放射される熱量は少なくなります。
なので野外で使用するなら焚き火に軍配が上がります。
ただ、焚き火の場合、炎が風に煽られたり薪が爆ぜて火の粉が飛ぶので、テントのすぐ近くに置いたりすぐ近くに寄ることは難しいです。
料理のしやすさの比較
料理のしやすさは圧倒的に薪ストーブです。
その理由は
- 一定の火力が維持しやすい
- 天板に鍋や鉄板を置ける
- 天板が安定している
薪ストーブのメリットは、天板がフラットで安定しているので、そのまま鍋や鉄板が置けること。また、空気口の開閉で火力を調整や火力の維持をしやすいです。
焚き火で料理をするとなると、トライポッドやファイヤーラックなど、調理器具を置く(吊るす)道具が必要です。
それに、調理器具にも配慮が必要。
焚き火は直火料理なのでプラスチックなど燃える(溶ける)素材がある調理器具は使えません。
焚き火料理はワイルドで雰囲気バツグンですが、そのほかの道具にコストがかかることも頭に入れておきましょう。
薪ストーブならステーキをじっくり焼く、コトコト煮込み料理など、どんな料理にも相性バツグンです。
対候性の比較
焚き火と薪ストーブのメリット・デメリットの違いがもっとも現れるのが天候です。
キャンプは外で行うもの。
天気予報の精度が高くなったとは言え、天気が急変することはよくある話。
焚き火は少々の雨なら大丈夫ですが、少し強く降ったり風が強い日はできません。
なので、熱源を焚き火しかない場合、料理を作ったり暖を取ったりできないのでキャンプ自体を諦めることになります。
薪ストーブはタープの下でもテントの中でも使えます。(テントの中で使う場合はそれなりの設備が必要になりますが)
薪ストーブをタープやテントの中に収めることができるので、悪天候時にはコンパクトな配置にできるし、冬キャンプではテントの中ですべてを完結することができます。
危険性の比較
焚き火も薪ストーブも「火」を使うので共通のリスクがあります。
ですが、構造や使う環境が変われば、当然気をつけるリスクも変わってきます。なので、どちらが安全でどちらが危険とは言えません。
以下、焚き火と薪ストーブの危険性をリストアップします。
- 火災
- 爆発
- ヤケド
- ケガ
- 一酸化炭素中毒
もう一度言いますが、構造や使う環境でリスクは変わります。
「薪ストーブだから火災は大丈夫」「外の焚き火だから一酸化炭素中毒は大丈夫」なんてことはありません。
実際に、テントのキャノピー下で行っていたBBQで一酸化炭素中毒になった事例もあります。
日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会
焚き火がオススメな人は?
焚き火がオススメな人は以下のとおり。
- ワイルドを楽しみたい
- 煙や臭いは平気
- 荷物を減らしたい
- コストを抑えたい
- 料理に使う熱源は他にある
ワイルド派や単純に炎を楽しみたい人には焚き火がオススメです。
焚き火なら近くの森林に落ちている小枝を燃料にすることも可能。(拾ってもいいかはキャンプ場に確認してくださいね)
天候によってはできないので、ガスコンロや炭火など他の熱源があると安心です。
焚き火を選んだあなたはこちらの記事へ!
薪ストーブがオススメな人は?
薪ストーブがオススメな人は以下のとおり。
- 冬キャンプを楽しみたい
- なるべく煙を出したくない
- 料理に使いたい
- 雨、風でも炎を楽しみたい
キャンプをするなら絶対に炎を楽しみたい!そんな人にオススメです。
薪ストーブなら少々の悪天候でも炎を楽しむことができますし、冬キャンプならテント内にインストールすれば、料理から暖房まで薪ストーブ1台でまかなえます。
ただ、薪がないと始まりませんので多めに用意しておきましょう。
もし荷物を減らしたいのであれば、キャンプ場で薪が買えるのかを確認しておくといいですね。
薪ストーブを選んだあなたはこちらの記事へ!
どっちも用意する選択もあり
悩むなら両方持って行くのもあり!
薪ストーブをメインに焚き火台を持っておけば、「焚き火したいな~」と思ったとき、すぐに焚き火をすることが可能です。
焚き火台は安くて2千円台で買えるし、そんなに邪魔になりません。
小枝を拾ってきても十分楽しめるので、焚き火台を1台用意しておけば焚き火も薪ストーブも両方楽しむことができます。
【まとめ】オススメは薪ストーブ
キャンプと言えば焚き火を思い浮かべる人が多いですよね。
でも焚き火は、天候によってはできないこともあるので要注意です。
やはりキャンプをするならありとあらゆる事態を想定して、最大限に楽しむ方法を考える必要があります。
幕ストーブは荷物も大きくなるし、コストもかかります。
ですが、天候に左右されることなくオールマイティに使えるので、どちらか一つと言われるなら間違いなく薪ストーブが正解でしょう。
下の記事でオススメの薪ストーブをご紹介しています。興味があれば覗いてみてください。