- 現場監督の派遣ってなに?
- 収入や休みは?
- 仕事の内容や範囲
- 派遣で働くメリット・デメリット
- 向いている人・派遣のほうがいい人の特徴
- 派遣現場監督のなり方
元土木系現場監督(歴25年)のぼくが解説します。
ぶっちゃけ派遣の現場監督で働くのもあり!ぼくはそう思っています。
なぜなら、現場監督の重たい責任とプレッシャーから解放されるから。
ふだんこんなことを思っていませんか?
- 「現場監督は責任が重いんだよな」
- 「補佐的な立場のほうが向いてるんだけど・・・」
- 「もっと気楽に働きたいな」
こんな悩みから一気に解放される働き方が「派遣」なんです。
そこで今回この記事では、土木系をメインに『現場監督の派遣』について解説していきます。最後のほうで『派遣現場監督のなり方』も解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を読めば、重たいプレッシャーやつらいストレスから解放される、気楽で新しい働き方「派遣現場監督」になれます。
現場監督の派遣とは?
現場監督の派遣とは、派遣会社から建設会社または建設現場へ出向することです。
コンサルから発注者へ出向するのと同じようなもの。
現場に派遣され、そこの社員さんの補佐的業務をメインに行っていくので、イメージとしては現場のナンバー2やナンバー3のような感じですね。
建設会社は、公共工事を多く受注するためには自社の現場監督を増やすことが必要ですが、なにせ成り手がいないため人材不足。
補佐的業務に自社社員を回す余裕がないため、施工管理を行ってくれる人材の派遣に注目が集まっています。
派遣現場監督の収入や休みは?
派遣で働く上でいちばん気になるのは、年収や休日などの待遇ですよね。
深掘りして解説していきます。
年収はどれぐらい?
月収は建設会社の正社員と比べてもそんなに変わりはありません。
保有資格や経験年数、地域による差はあるので一概には言えませんが、だいたい年収400~600万円が相場です。
派遣で年収を上げるポイントはつぎの3つ
- 一級土木施工管理技士
- 経験年数
- 派遣会社選び
一級土木の資格を持って10年、20年の経験があれば強いです。
ただ、お給料を貰うのは建設会社ではなく派遣会社からなので、派遣会社選びがとても重要になってきます。
休日や残業は?
休日日数や残業の有無については、派遣会社と建設会社との契約によって変わります。
最近では働き方改革が進み、極端な休日出勤や残業は減っている傾向にありますが、現場によっては突貫工事などで忙しいこともあるので要確認ですね。
とは言っても、派遣は派遣なので、休日出勤や残業を「断りたければ断れる」のが強み。
逆に、バリバリ稼ぎたい人は率先して休日出勤や残業をすれば、丸々手当が出るので年収アップも期待できます。
自分がどういう働き方をしたいかを、勤める派遣会社と事前にすり合わせることが大切です。
派遣の仕事内容や範囲
派遣の現場監督の仕事内容や範囲は、施工管理だけです。
施工管理と言っても下記のような責任を負う立場にはなれないので、アシスタント役、サポート役のような「補佐的業務」がメインになります。
- 現場代理人
- 主任技術者や監理技術者
- 担当技術者 など
要はどこにも名前が出ないということ。
二-四 監理技術者等の雇用関係
建設工事の適正な施工を確保するため、監理技術者等については当該建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある者であることが必要であり、このような雇用関係は、資格者証又は健康保険被保険者証等に記載された所属建設業者名及び交付日により確認できることが必要である。
それと、建設会社の社員ではないので、派遣先の社内書類や社内行事などには関わる必要がなく、現場の施工管理に徹することになります。
また、現場で施工管理以外の作業を行うと法律違反。
なので、ちょっとした作業(現場の清掃、看板の取り付けなど)もしてはいけないので、体力的にもラクです。
労働者派遣法ではつぎの4つの業務についての派遣労働を禁止しています。
- 港湾運送業務
- 建設業務
- 警備業務
- 医療関係業務
ただし、建設業でも労働者派遣が可能な業務があります。 例として、現場事務所の事務員、CADオペレータ、施工管理業務(工程管理・品質管理・安全管理など)があります。
派遣の現場監督で働くメリット
派遣の現場監督には派遣ならではのメリットがあります。
- 責任の重い仕事が少ない
- 派遣の割に高収入
- 仕事とプライベートを切り分けられる
- 高待遇の引き抜きも
- 独立起業の布石となる
それではひとつずつ解説します。
責任の重い仕事が少ない
「派遣の仕事内容や範囲」でも解説しましたが、派遣社員は現場代理人や主任技術者など、責任のある立場になることはありません。
なので基本、配属先の現場監督(建設会社の社員)の指示に従って仕事をするだけなので、めっちゃ気が楽です。
今まで責任の重たい現場監督をしてきた方にとっては「楽勝」の働き方と言えるでしょう。
派遣の割に高収入
派遣って給料が安いイメージがありますよね。
派遣の現場監督は違います。
派遣の現場監督の給料は、資格の有無や経験年数、契約によって変わりますが、他の派遣業務と比べてもはるかに高い水準にあります。
ただ、前にも解説しましたが、派遣会社によって給料が変わるので派遣会社選びが重要になってきます。
仕事とプライベートが切り分けられる
責任が重くない仕事に関連しますが、派遣の現場監督なら家に帰ってから現場のことを気にする必要がなく、のんびりできます。
建設会社の正社員なら
- 休みの日の大雨
- 夜中に突如吹く強風
- 次の段取り
- クレームや第三者災害
いつも「大丈夫だろうか・・・」と気にかけていますよね。
派遣ならそんな心配をする必要はありません。プライベートはプライベートでゆっくり楽しむことができます。
高待遇の引き抜き
派遣の現場監督から「正社員」になることも可能です。
もちろん資格だったり経験だったり人間性だったりは重要ですが、どの会社も人材不足なのでそれなりの実力があれば正社員起用も十分にあり得ます。
派遣をしていれば、どの会社がどれほど給料をもらっているのか、どんな人間がいるのかなども把握しやすいので、自分にあった会社を選べるのも大きなポイントです。
独立起業の布石となる
派遣を経験しておけば、起業したりフリーランスとして働くことができるようになります。
ぼく的には「独立起業」のノウハウが積めるところが派遣の最大のメリットだと思います。
派遣の現場監督もフリーランスの現場監督もやることは同じ。
まずは派遣の立場を利用して、ノウハウの積み上げや人脈作り、起業の準備を進めておけば、独立後すぐに仕事ができます。
また、派遣会社のピンハネがなくなるので、収入もアップします。
派遣の現場監督で働くデメリット
派遣の現場監督には派遣ならではのデメリットもあります。
派遣の現場監督に就きたい方は、デメリットをよく理解しておくことが大切です。
- 希望しない派遣先もある
- 自分の信用は自身で築く必要がある
- 契約打ち切りもあり得る
- ボーナスが少ない(ない)場合もある
- 突貫工事になると残業や休日出勤が増える
それではひとつずつ解説します。
希望しない派遣先もある
派遣として働く場合、ある程度希望を伝えることはできますが、100%希望に沿った派遣先に回されるとは限りません。
たとえば
- イヤな人がいる建設会社
- 自宅から遠い現場
- 忙しい突貫工事
などに回されることは十分に考えられます。
なるべく希望どおりの現場を選びたい場合は、派遣先が多い派遣会社を選ぶ必要があります。
もしくは、3年ほど我慢して実績を積み、独立して仕事をする選択もあります。独立すれば自分で現場を選べるようになるので、イヤな人がいる所にはいかなくてもいいし、遠い現場や忙しい現場を除外することも可能になります。
自分の信用は自分で築く必要がある
建設会社の場合は会社の看板があります。
派遣の現場監督は派遣会社に所属しているものの技術面やトラブルなどには対応しておらず、自分自身のスキルアップや人間関係などは自分で築いていく必要があります。
また、派遣先と人間関係のトラブルなどになった場合には、その会社での仕事ができなくなる恐れもあるので、多少イヤなことがあってもスルーできる能力が必要です。
契約打ち切りもあり得る
派遣は派遣されてなんぼの世界です。
先ほどお話したとおり「技術不足」や「人間性に問題がある」などの場合は、派遣先から嫌われてお呼びがかからなくなることも。
こうなると派遣会社としても雇用している意味がないので、契約打ち切りになる可能性もあります。
とは言っても、よほど人間性に問題がなければ大丈夫です。
ボーナスが少ない(ない)場合もある
ボーナスを出す出さないは所属している派遣会社によりますし、会社の業績が悪ければボーナスが少ない、若しくはないことも十分にありえます。
これは建設会社に勤めていても同じです。
ただ、派遣会社を選ぶ際には「ボーナスの有無」だったり「支給実績(何か月分)」かをチェックしたり、トータルの年収で考えていきましょう。
突貫工事になると残業や休日出勤が増える
現場は生き物です。
突然トラブルに見舞われて工事がストップしたり、天候不順で作業できなかったりと条件は日々変わっていきます。
なので、突然の残業や休日出勤は覚悟していたほうがよさそうです。
ただ派遣社員は、責任がないので残業や休日出勤を断ることもできるし、残業や休日出勤をした分だけは給料に反映されますので、給料のためと思えば頑張れると思います。
派遣に向いている人・派遣がいい人の特徴
派遣に向いている人、派遣がいい人にはつぎの特徴があります。
- 気楽に働きたい人
- 再雇用で収入が激減した人
- 独立を考えている人
ちょっと深掘りして解説します。
気楽に働きたい人
冒頭からお話しているとおり、派遣の現場監督は「責任の重たい立場」になることはありません。
- 「現場監督は責任が重いんだよな」
- 「補佐的な立場のほうが向いてるんだけど・・・」
- 「もっと気楽に働きたいな」
と思っている方は派遣の仕事が向いています。
ただ、キャリアが築きにくいので、スキルアップや資格の取得などつぎのことを考えて行動する必要があります。
参考記事:【人生100年時代】現場監督のセカンドキャリア「いつまで続けられるか考えたことある?」
再雇用で収入が激減した人
定年退職後、同じ会社に再雇用の形で勤める現場監督は多いですよね。
でも、ちょっと考えてみてください。再雇用はデメリットも多いはずです。たとえば
- 給料を減らされる
- 仕事や責任は変わらない
再雇用のほとんど場合、給料は減らされるけど仕事の量や責任の範囲は変わりません。
それなら派遣として働くほうが収入が多い場合もあり、仕事量も責任の範囲も減るので、金銭面、精神面、体力面、どれをとっても有利となることがあります。
独立を考えている人
フリーの現場監督として独立したいと考えている方は派遣を経験してみるのも手です。
派遣会社と建設会社がどのように契約をして、どのくらいの収入があり、仕事の量や範囲はどれほどなのかを事前に把握できるので、そのまま独立のノウハウとなります。
また、いろいろな建設会社とのパイプもできるので、派遣として働いている間に売り込みをしておけば、独立後すぐに仕事がもらえるようになります。
派遣現場監督のなり方
派遣の現場監督になる方法は2つあります。
- 人材派遣会社の正社員になる
- 求人サイトに登録する
それでは2つの方法をそれぞれ解説します。
人材派遣会社の正社員になる
安定して派遣の現場監督を続けるには、人材派遣会社の正社員になるのが一番いい方法です。
正社員になるので、給料も社会的地位も安定しています。
ボーナスがある会社も多い!
現場監督を派遣する派遣会社は建設業に特化しているので、資格取得のサポートやスキルアップの研修制度が充実しているところもGOOD。
未経験の方や経験の浅い方でも派遣として働けます。
ただ、派遣会社ってどういうところがあるか、どう選べばいいのかわかりませんよね。
- 建設業に特化した派遣会社
- 各地方に拠点があり規模が大きい
- 大手ゼネコンと取引がある
- サポート体制がしっかりしている
実は上記ポイントに当てはまる会社って100社以上あるんですよね。
そこでおすすめの派遣会社5社をご紹介しておきます。参考にしてみてください。
各社ともホームページ内の採用情報からエントリーできます。
求人サイトに登録する
求人サイトに登録する方法は、正社員ではなくフリーランス的な働き方です。
求人の中から自分の好きな仕事や地域を選べるので自由度は高いですが、安定性に欠けるので個人的にはあまりおすすめはしません。
もし、興味があるなら求人サイトに登録しておくだけでもOKです。
建設系の仕事を探すなら「建設業界専門の転職支援サービス【RSG建設転職】」をおすすめします。
建設に特化しているので仕事を見つけやすい特徴がありますし、転職をする際にも役に立ちます。
建設業界専門の転職エージェント【RSG Construction Agent】【まとめ】気楽な現場監督になるなら派遣という選択
今回は派遣の現場監督について解説してきました。
派遣と聞くと、給料が安かったり、こき使われたりとあまりいいイメージがないと思います。
ですが、派遣の現場監督は需要が高く仕事量も責任も少なめ、でも給料は高め。
もし、いま建設会社の正社員として現場管理をしていて「もう辞めたいな」とか「転職しようかな」と思っているなら、派遣もひとつの選択肢に加えてみてもいいかもしれません。
難易度は上がるけど、安定が魅力の「公務員への道」もありますよ!