「土木の現場監督は辛すぎる」おすすめしない理由と向かいない人の特徴

私は、20年以上現場監督として勤めていまが、「自分には向かない、辞めよう」と思ったことが何度もあります。

今、勤めている会社でも、私が入社してから今までに何人もの社員が辞めています。

「なぜ続かないの?なにが辛いの?」

ここでは、実際に私の実体験をもとに、「現場監督をおすすめしない理由」と「現場監督に向かない人の特徴」をお話します。

<簡単に私の経歴をご紹介>
  • 地元の工業高校を卒業後、今の会社に入社
  • 21歳で2級土木施工管理技士を取得
  • 23歳で初めて現場代理人兼主任技術者として町発注の工事を担当
  • 26歳で1級土木施工管理技士を取得
  • 29歳で現場代理人として国土交通省発注の工事を担当
  • 40歳のときにストレスにより病気を発症

この記事は、高校・大学を卒業後、現場監督として働きたい方や現場監督の仕事へ転職したい方に向けて書きます。

<土木の現場監督の仕事内容についてはこちら>

目次

現場監督をおすすめしない理由

四方からの板ばさみ

上の図を見てもらうとわかるとおり、現場監督は、四方を囲まれ完全な板ばさみ状態となります。

四方とも、現場監督に求めるものが違います。

現場監督は、この四方の求めるものに答えながら、激務をこなさなければなりません。

発注者

土木工事の場合の発注者とは、主に公共工事の発注を行う「国、都道府県、市町村」を指します。

契約の上では、発注者と元請業者はお互いに協力し工事を完成させる「対等な立場」のはずですが、実際は、上から目線の場合が多く、ひどい場合には「パワハラ、モラハラ」とも取れる言動や態度をとる担当者もいます。

また、発注者と業務契約(発注者支援業務)をしている民間のコンサルタント会社の職員もいるのですが、この人たちは自分たちの業務を現場監督に押し付けてくることがあり、現場監督の仕事は増える一方です。

地元

地元住民への事業の説明などは、発注者が行うべき業務ですが、工事を受注したときにはまだ調整が付いていないことが多々あります。そうした場合、地元の調整も現場監督が行うはめになり、地元住民からの矢面に立たされることがあります。

現場周辺の地元住民の中には必ず1人、「クレーマー」と呼ばれる人がいます。

発注者はクレームを極端に嫌う性質があり、発注者との契約では、通常の作業ができる内容であるにも関わらず、クレームの出ない作業の方法を現場監督に求めてきます。

例えば、「騒音、振動」に敏感なクレーマーの場合、静かに作業を行う必要があるため、通常の作業単価では予算が合わないことから、利益率の低下、さらには工程の遅れなどの影響が発生します。

地元からのクレームが発生すると、工事成績(発注者が元請業者を評価)が下がる恐れもあり、現場監督はクレームに怯えながら利益と工程を心配して仕事をすることになります。

会社

受注した工事で利益率を確保することは、現場監督の仕事のうちですが、最初から利益率の低い工事の場合、会社から予算を削られることがあります。

工事の種類によって、ある程度の利益率の基準があるのですが、特殊な工法などの場合は、利益率が大幅に下がることがあります。

この辺りの責任は現場監督にはないのですが、予算を作成する段階で、会社から利益率を確保するように求められることがあり、必要な経費などの計上も認めてもらえないことがあります。

結局、工事を受注した手柄は会社にあり、利益率の確保などのしわ寄せは現場監督にくるのです。

こうなると、作業員を投入して行うはずの仕事を、現場監督自らが行うことになり、「通常の業務+現場作業」で激務となるのです。

下請業者

人手不足が加速する中で、下請業者(実際に施工を行う職人)の確保が難しいのが現状です。

下請業者に来てもらうには、今までより高い単価での契約が必要となり、発注者との契約単価と逆転することもあり、利益率の確保にさらなる追い打ちをかけます。

また、人手不足のため、現場監督の求める工程どおりに下請業者が入れないこともあり、下請業者に合わせた工程調整に加え、天候などによる調整も発生することから、思うように工事の進捗が図れません。

しかし、このような事情があるにもかかわらず、発注者は工期内の完了を求め、会社は利益を求めます。


ポイント

公共工事は、「良いものを、より安く、早く、安全に」の4つの視点が基本とされています。この4つの視点はそれぞれ相反する関係にあり、すべてを満足させることは不可能なのです。

現場監督は、「良いものを、より安く、早く、安全に」の4つのバランスを取りながら、工事を進めていきますが、発注者・地元・会社・下請業者の求めるものは異なり、板ばさみになるのです。

残業が多い、休日出勤はあたり前

現場監督は基本、日中は現場での施工管理、夕方は下請業者が帰ったあとは書類作成などを行います。

建設会社は、通常であれば、朝8時から夕方5時の勤務です。

下請業者は夕方5時までビッチリ働きます。そうなると必然的に残業をして書類を作ることになるのです。

建設業でも「働き方改革」が進み、土日休みの会社も多くなってきています。

しかし、これはあくまでも会社の休日です。

現場は、いつまでに工事を完成させなければならないという制約のもとで動いていますので、先ほどの下請業者との調整や悪天候による工程の遅れを休日出勤という形でカバーしなくてはならないのです。

また、下請業者ではいまだ日給月給のところもあり、休みは基本日曜日だけの会社も多く存在します。

下請業者の社員は、休みが多くなると収入が減るため、土曜日、祝祭日関係なく仕事をするので、現場監督も休めない状況になります。

左側は年間の労働時間、右側は建設業における休日日数

上の表は、国土交通省の2018年の資料ですが、年間の労働時間は建設業がトップです。

休日については、土木工事で4週間当たり5.21日程度です。4週8休いわゆる週休2日は全体の一割程度です。


ポイント
  • 残業は、必然的に発生する
  • 休日は、工程、下請業者に左右される

重たすぎる責任、見合わない給料

現場監督は、現場で起こったすべてのことに責任を負います。

例えば

  • 完成したものが間違っていた
  • 作業員がケガや交通事故をしてしまった
  • 第三者に損害を与えてしまった
  • 利益率が下がった、赤字になった
  • 工期に間に合わない

など、多くの責任を背負っています。

現場監督は、会社の一員であるため、現場監督では変えられないことが多いのも現状です。

嫌な仕事を断ることもできず、会社からの人的支援も選べません。その割には、失敗したら責任を負わされるのです。

どう考えても理不尽ですね。

それでは、現場監督の給料は、その責任に見合うのか。

現場監督の給料は、他の産業に比べれば多少高いです。

しかし、その給料は、責任の重さとのバランスがまったくとれていないのが現状です。また、労働時間をベースに考えたら、他の産業と大差がないことになります。


ポイント

現場監督の仕事は「責任>給料」です。明らかに責任と給料の釣り合いがとれていません。

<あなたが病気になっても、会社は責任を取ってはくれません>

危険

建設現場は危険と隣り合わせです。

不注意によって、いつ誰がケガをしてもおかしくはない状況で、これは作業員だけではなく現場監督にも当てはまります。

自分自身がケガをしてしまうと、現場はしばらくストップすることでしょう。

さらには「ケガをしたこのへの責任」が問われます。

また、現場監督はケガのリスクだけではなく、ストレスによる「うつ病などの精神障害」になるリスクも高く、最悪の場合「自死」してしまう可能性もあります。

なかなかニュースでは報道されませんが、精神障害・過労死・自死は多くあります。

最近では、「東京オリンピック会場建設に携わる若い現場監督が自殺」がニュースで流れていました。


ポイント

 現場監督は、ケガのリスクだけではなく「精神障害・過労死・自死」などのリスクも抱えています。

現場監督をおすすめしない理由まとめ

ここでもう一度「現場監督をおすすめしない理由」をまとめると

  • 四方からの要求に板ばさみ
  • 残業は必然的、休日はなにかに左右される
  • 理不尽な責任と見合わない給料
  • 多重なリスク

この4つことが複雑に絡み合い、現場監督を苦しめる要因になっています。

今後、改善される見込みは

建設業でも「働き方を見直す動き」が出ています。

週休2制の導入や、労働時間の削減、IT技術による省力化などが主な内容ですが、現在のところ「企業に委ねられている」側面が大きく、実現には程遠いと感じます。

また、働き方改革とは表向きの「キレイ事」で、官公庁が仕方なしに推進しているように思えます。

週休2日制については、「推進はするが、現場に任せる」「工期は遵守してください」という感じですし、労働時間の削減は、「残業時間(休日出勤も含む)は年720時間以内、月100時間以内、2~6ヶ月の月平均80時間以内」という訳のわからない規制が始まります。

これを単純に計算すると、「年間720時間÷8時間=90日」となり、「90日間分は余計に働いてもいいですよ」と言っているようなものですね。

IT技術による省力化にしても、新しい技術を取り入れるためには余計な書類の提出が必要だったりして、結局、余計な手間がかかります。

さらには規則、規制がどんどんと追加され、要求事項も増え続け、ますます現場監督は苦しい立場に追い込まれています。

これが建設業の「働き方改革」の現状です。

このようなことから、現場監督の仕事が劇的に改善されるまでには、10年以上はかかるのではないでしょうか。

現場監督のやりがいとは

現場監督のやりがいとしてよく耳にするのは

  • 地図に残る、形に残る
  • 達成感
  • 自身の成長
  • 地域に貢献

こんなところでしょう。

私の本音を言わせていただくと

  • 地図に残る、形に残る ⇒ 残るのは辛い思い出
  • 達成感 ⇒ 開放感
  • 自身の成長 ⇒ 心身ともにボロボロ
  • 地域への貢献 ⇒ なにも感じない

現場監督に限らず、多くの仕事のやりがいとは、後で付け足された幻想です。

残るのは辛い思い出

確かに、形になり地図に残るかもしれませんが、そのものを見るたびに辛い思い出が蘇ります。

開放感

ものを作った達成感よりも、工事から開放される喜びのほうが圧倒的に強いです。

心身ともにボロボロ

日頃の疲れやストレスで、体も心もボロボロになります。

なにも感じない

地域からのクレームから悩まされている上に、感謝のひとつもされない仕事です。


ポイント

 辛い仕事や、大変な仕事に理由を付けて、「やりがいのために頑張っている」と思わされているだけなのです。

 しかし、建設業全体の「社会的地位の向上」が図られれば、いつかはやりがいのある仕事に変わっていくでしょう。

現場監督のいいところは

この先、どんなことがあっても建設業という仕事は無くなることはありません。

人手不足ということもあり、現場監督をしていれば「食いっぱぐれることはない」でしょう。

また、どの会社も現場監督を確保したいため、同業種への転職には有利となります。

さらに現場監督はさまざまなスキルが身に付きます。

フリーランスや起業など始める場合には役に立つはずです。

現場監督に向かない人

今まで、色々な人を見てきた中で、「現場監督に向かない人」の共通点が見えてきました。

  1. 理解力がない人
  2. コミュニケーション能力が低い人
  3. 自己管理ができない人
  4. プライベートを大切にしたい人
  5. そもそも建設業に興味のない人

現場監督は、世間で思われているよりずっと過酷で厳しい仕事です。

さまざまなスキルも必要になってきます。

理解力がない人

現場監督は、発注者を始め、さまざまな人たちとコミュニケーションをとらなくてはいけませんので、相手の言うことを素早く理解する能力が必要です。

理解する能力がないということは、伝える能力もないことになります。

現場監督は、指示を出す立場でもあるので、間違った解釈での指示は大きなミスの原因にもなります。

コミュニケーション能力が低い人

日頃のあいさつや返事ができないことや、指示伝達ができない場合は、現場監督として致命的です。

これは、現場の雰囲気だけではなく、安全面から見ても必要な能力です。

自己管理ができない人

寝坊や二日酔いなど、自己管理ができない人は、現場の管理もできません。

現場監督が不在だと、現場は動かせません。

遅刻や急な休みは、会社のみならず、下請業者にも迷惑がかかります。

プライベートを大切にしたい人

現場監督の日常は、「仕事最優先」「仕事中心」です。

休日の予定はなかなかたてられません。

プライベートを充実させたい人はやめたほうがいいでしょう。

そもそも建設業に興味のない人

長続きしません。

あなたの時間が無駄になります。


ポイント

 休日をしっかりと確保したい、定時には帰りたい人には向かない仕事です。

 また、理解力とコミュニケーション能力は必須です。

<現場監督を辞めたい人は>

まとめ

今回、現場監督をおすすめしない理由などを解説してきましたが、簡単にまとめると

  • 激務で辛い仕事
  • さまざまなリスクがある
  • 責任が重く給料が見合わない
  • 自分の時間が保てない
  • やりがいが感じられない
  • プライベートを重視する人には向かない
  • 理解力、コミュニケーション能力が必須

建設業がなくなることはないので、食いっぱぐれはありませんが、責任が重く、リスクが高いことだけは承知しておいてください。

<これでもまだ現場監督になりたい方は>

 気長に我慢し続ければ、現場監督にとっていい時代がくるかもしれませんね。

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