新資格「技士補」は技術者を潰す!史上最悪の制度で離職者が増える理由

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技士補という新資格をご存知だろうか。

令和2年5月22日の第198回国会で「建設業法施行令の一部を改正政令」が閣議決定された。

これに伴い、施工管理技士の第一次検定合格者に「技士補」という資格が与えられることとなった。この制度は令和3年4月1日に施行された。

私は地元の建設会社で、20年以上技術者として働いている。

この記事では、なぜ私が「技士補」を史上最悪の制度と呼ぶのか、なぜ離職者が増えるのかについてお話していきます。

目次

技士補は史上最悪の制度

人手不足のしわ寄せを「既存の技術者に押し付ける」最悪な制度!

技士補ができた背景には、「技術者の深刻な人手不足」がある。

工事現場には、「1級施工管理技士」の資格を持つ技術者を専任で配置する必要があるが、技術者の数は年々減る一方で、これから先、増える見込みはない。

技士補の新制度により、「技士補」を2つの現場にそれぞれ専任で配置することで、「技士」はその2つの現場を兼任できるようになる。

要は「一級施工管理技士」は2倍の現場を担当できるようになるということだ。

これを聞いて皆さんはどう思っただろうか。

私は心の底から「ゾッとする」感覚だ。

だでさえ責任の重たい立場であるのに、さらに倍の責任がのしかかってくるなんて想像しただけで嫌になる。

若い人材を潰しかねない最悪な制度!

問題はこれだけではない。

1級施工管理技士の第1次検定を合格しただけで、「技士補」という資格を与えられた人たちはどうだろうか。

まだ「技士」の資格を持っていないということは、技術者として「経験」「技術」「知識」が未熟だと言っても過言ではないだろう。

「技士補」の立場になる人は、比較的若い人も多いと思うが、経験の浅い若者たちを時期尚早に、責任のある立場に置くことで潰してしまう可能性が大いにある。

技士補で離職者が増える理由

責任の重さと同等の報酬が得られない

私は地方の建設会社に努めている。

スーパーゼネコンと呼ばれる超大手のことはわからないが、現在、地方の建設会社の技術者は「責任の重さ=報酬」を得られていないのが現実だ。

この「技士補」の制度が運用され、業界に浸透していったとしよう。

2倍の仕事量と責任を負わされた場合、果たして2倍の報酬が得られるのだろうか。

まちがいなく答えは「NO」だ。

そもそも現状でも人手不足の中、現場はギリギリの人数で運営している状況で、これ以上の仕事量をこなすのは困難である。

最近ようやくマシになってきた(まだまともではない)建設業界、この「技士補」の制度で10年前に逆戻りしそうな感じがするのは私だけだろうか。

辞める以前に潰れてしまう

技術者は不思議なもので責任のある立場に置かれると、「自分のこと」や「家族のこと」が二の次になってしまう。

責任が重たくなればなるほど、「仕事のことだけ」を考えてしまう。

さらには、現場を進めるために、休日出勤や早出残業も当たり前になり、知らないうちに心を病んでいる。

かく言う私も、ストレスから精神疾患を患い、死を意識するまでに至ったことがある。

技術者は、責任という名の鎖から逃げることができないまま潰れてしまうのだ。

技士補の制度が運用されれば、さらに責任と仕事量が増えることは間違いないだろう。

責任の重さや、様々なストレスで精神疾患を患い、挙句の果てには、離職せざるを得ない状況に追い込まれる技術者も増えることだろう。

国の考える制度は根本的にズレている

今回の「技士補」に限った話ではない。

国が考える、「人手不足の解消」や「働き方改革」は、やはり世間からズレている。

なぜか?答えは簡単である。

「考える人間には関係のない話」だからだ。

そう、自分たちには関係がないし、そもそも現場のこと、もっと言えば世間のことなんて知らない。

さらに、改革という名の鎖で縛り付けようとする始末で、やることが増える一方だ。

それに加えて建設業界も、「思考停止」している。

そして全てが中途半端だ。

週休二日制にしても、やるならさっさとすればいい。

まとめ

「技士補」が技術者にとっていかに「最悪の制度」ということがお分かり頂けたでしょうか。

今、建設業界に必要なのは「社会的地位の向上」だと私は思う。

極端に言えば、「社会的地位の向上」で、人手不足も働き方も解決できるだろう。

まあ、今の現状は「建設業界をコントロールしたい」行政の思惑どおりなのでしょうけどね。

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