【転職でも勉強必須】土木技術職公務員の壁「専門試験」ってなに?

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現場監督から土木系公務員に転職するさいの採用試験のなかに「専門試験」というものがあります。

ぼち太

土木の専門知識を問われる試験だから、一級土木施工管理技士を持っていれば余裕でしょ!

こう

ぼくもそう思っていました。しかし・・・

実は、土木の施工とはほぼ無関係というか、応力計算や構造計算などのめちゃくちゃ理系の問題が出題されます。

なので、甘く見てなにも対策を取らずに受験すると「0点」なんてことも。

そこで今回この記事では、土木系公務員の「専門試験」の内容やおすすめ参考書などを解説していきます。

この記事を読んで「専門試験」に対処できるようになりましょう!

目次

公務員採用試験の専門試験とは

公務員採用試験の専門試験とは、各分野の専門的な知識を問われる試験です。

公務員と一言でいっても、行政事務・福祉・土木・建築など様々な試験区分に分かれており比較的レベルの高い知識が問われます。

専門試験の区分の例

試験区分専門科目出題
行政事務政治学、行政学、憲法、行政法、民法、労働法、経済学、財政学、社会政策、国際関係、経営学、教育学、社会福祉概論など
福祉社会福祉概論、社会学概論、心理学概論、社会調査など
技術職土木数学・物理、応用力学、水理学、土質工学、測量、都市計画、土木系学、材料・施工など
建築数学・物理、構造力学、材料学、環境原論、建築史、建築構造、都市計画、建築設備、建築施工など
電気数学・物理、電磁気学・電気回路、電気計測・制御、電気機器・電力工学、電子工学、情報・通信工学など
機械数学・物理、材料力学、流体力学、熱力学、電気工学、機械力学・制御、機械設計、機械材料、機械工作など
化学数学・物理、物理化学、分析化学、無機化学・無機工業化学、有機化学・有機工業化学、化学工学など
農業栽培学汎論、作物学、園芸学、育種遺伝学、植物病理学、昆虫学、土壌肥料学、植物生理学、畜産一般、農業経済一般など
土木技術系専門試験のポイント
  • 土木の知識ではなく理系の知識が問われる
  • 採用場所や条件により難易度が変わる
  • 社会人経験者採用枠でも専門試験はある

ちょっと深掘りして解説します。

土木の知識ではなく理系の知識が問われる

土木職だからコンクリートや土、施工方法や測量のことを問われるかと思いますよね。

材料や施工のことも関係なくはないですが、出題数や配点のウエイトの70%を占めているのは「理系」の問題です。

こう

このあたりについてはつぎの章「土木職の専門試験の内容」でくわしく解説します。

とにかく試験問題の70%を占めている理系の問題をクリアできないと合格基準に届きません。

採用場所や条件により難易度が変わる

公務員の募集は大卒程度と高卒程度に分かれており、専門試験の内容は一様ではなく大卒程度と高卒程度で難易度が変わります。

もちろんですが大卒程度のほうが難易度が高く、出題される問題は深く濃くなります。

大卒程度か高卒程度かで勉強方法が変わる

大卒か高卒かで難易度が変わるので、選ぶ参考書や問題集、勉強方法が変わります。

高卒程度を受験する場合でも大卒程度の参考書や問題集をしていてもムダとは言いませんが、時間がかかってしまうので効率がいいとは言えません。

社会人経験者採用枠でも専門試験はある

土木職の社会人経験者枠ではつぎの受験資格が必要になります。

土木職の社会人経験者枠の受験資格
  • 技術士または一級土木施工管理技士
  • 施工管理の経験が3~5年以上

資格を持っていても、経験があっても専門試験の免除はなく、社会人経験者枠でも免れるものではありません。

ですが、社会人経験者枠は面接試験に比重が置かれることが多く、専門試験が簡素化される場合もあります。とは言ってもやはり専門試験は専門試験、土木の知識ではなく理系の知識が必要になってきます。

土木職の専門試験の内容

専門試験は、国家公務員や地方公務員、大卒程度や高卒程度などによって難易度に差はあるものの、出題科目はほとんど同じです。

下の図は専門試験の一例です。

40問のうち、約70%が数学や工学、力学に関する問題

40問出題のうち、約70%が数学や工学、力学に関する問題です。

この「工学に関する基礎(数学・物理)」と3力と呼ばれる「構造(応用)力学・土質力学(工学)・水理学」で確実に点を取らなければ勝ち目はありません。

こう

逆に言えば、工学の基礎と3力をマスターすれば合格ラインを十分に越えられる!

ほかの「測量」「土木(都市)計画」「材料・設計・施工」などは一級土木試験や経験値で答えられる科目なので、最後の最後に余力があれば復習する程度でOKです。

まずは工学の基礎と3力

大切なので何回も言いますが、合格するためには「工学に関する基礎(数学・物理)」と「構造(応用)力学・土質力学(工学)・水理学」をマスターしましょう!

工学に関する基礎(数学・物理)ってどんな問題?

工学に関する基礎(数学・物理)に出題される問題を見てみましょう。

つぎの一覧は、令和元年度~令和3年度の国家総合職・一般職、地方上級の問題を抜き出したものです。

数学の基礎の問題
  • 無理数の計算
  • 方程式
  • 複素数、連立二次方程式
  • ベクトルと曲線の長さ
  • 微分・積分
  • 標準偏差
  • 1次変換
  • フローチャート
  • 確率分布
  • 図形
  • 極限
  • 行列
  • 数列
  • 解と係数の関係
  • n進数
  • 座標平面
  • 二次元確立分布
  • 約数
  • 軌跡
  • 対数
  • 整式
  • 分散
  • 連分数
  • 極座標
  • 論理
  • 三角関数
  • 条件付き最適化
工学の基礎の問題
  • 角運動量の保存
  • 力・モーメントのつりあい
  • 弾性体の力学
  • 斜方投射
  • 気体と仕事
  • 波のグラフ
  • ドップラー効果
  • 電磁誘導
  • 相互誘導
  • 直流回路
  • コンデンサの入った回路
  • 浮力
  • 非等速円運動
  • 万有引力、等速円運動
  • 電磁波
  • 単振り子
  • 管の固有振動
  • 状態方程式
  • クーロンの法則
  • 電力
  • 力学的エネルギーの保存
  • 気体分子運動論
  • 斜面との衝突
  • 単振動
  • 熱力学第1法則
  • 光の干渉
  • アンペールの法則
  • ローレンツ力
  • 非線形抵抗
  • 水圧
  • X線の回析
  • 熱量
  • 電界
  • 弾性衝突
  • 原子
  • ばね振り子
  • P-V線図
こう

これが基礎なんだから恐れ入ります。

数学や物理の基礎だけあって、つぎの段階「3力」にも必要になってくる知識です。

ただ、ここに列挙した問題は国家公務員の一般職や総合職も含まれているので、土木に特化した公務員試験を受験する場合には「電気」の分野は外してもOKです。

構造力学・土質力学・水理学ってどんな問題?

土木の3力「構造力学・土質力学・水理学」の問題を見てみましょう。

構造力学の問題
  • 棒材の力学
  • トラス
  • たわみ
  • 不静定力法と単位荷重の定理
  • 座屈
  • 影響線、熱
土質力学の問題
  • 土の基本的物理量、基本的性質
  • 透水
  • クイックサンド
  • 粘土の圧縮と圧密
  • せん断力の計算
  • 土圧
  • 斜面安定・支持力
  • 支持力・基礎・地盤改良
水理学の問題
  • 静水圧の計算
  • ベルヌーイの定理
  • トリチェリの定理
  • 運動量の保存則
  • 管水路のベルヌーイの定理
  • 流れの分類、粘性力、比エネルギー
  • マニングの公式と不等流の水面形
  • その他
こう

見るだけで頭が痛くなりそうですね。

3力はほぼ計算問題なので数学と物理の知識が必要です。

公式や計算方法をしっかりとマスターしましょう!

土木技術職専門試験におすすめ参考書2選

公務員採用試験の土木専門試験におすすめな2大参考書(問題集)をご紹介します。

土木専門試験2大参考書
  • 土木職公務員試験 ⇐ 国家におすすめ
  • 公務員試験 技術系〈最新〉過去問 ⇐ 地方におすすめ

が、しかし、基本的な数学ができる前提で解説してあるので、数学が苦手な方は中学、高校の教科書や参考書も手元にあったほうがいいと思います。

こう

ぼく、基本的な数学と言うより算数すら苦手なので苦労しました。

中学高校の参考書を見ながらひとつずつ理解していけばなんとかなります。

それではおおざっぱに2大参考書をご紹介します。

土木職公務員試験 専門問題と解答

出典:Amazon
こう

「土木職の専門試験と言ったらこれ!」ってほど有名

ただ、国家公務員試験用なので難易度が高くなります。(地方上級については解説してありません)

この土木職公務員試験 専門問題と解答には全7シリーズあります。

スクロールできます
シリーズ名必修科目編選択科目編数学編物理編実践問題集実践問題集総仕上げ編
画 像必修科目編
出典:Amazon
選択科目編
出典:Amazon
数学編
出典:Amazon
物理編
出典:Amazon
問題集「必修・選択科目編」
出典:Amazon
問題集「数学・物理編」
出典:Amazon
総仕上げ編
出典:Amazon
内 容構造力学
水理学
土質力学
土木材料学
橋梁工学
耐震工学
測量
土木施工
など全10項目
式と計算
直線と図形
行列と一次変換
微分
積分
など全11項目
静的な力のつり合い
等速・等加速度運動
仕事とエネルギー
遠心力と万有引力
衝突
など全21項目
(付録 数学の基本公式)
必修・選択科目数学・物理編これまでの流れをわかりやすく解説した一冊
参考価格(税込)3,520円3,300円2,200円2,750円2,970円2,200円3,080円
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土木職公務員試験 専門問題と解答シリーズ
こう

全部揃えたら総額20,020円。高いと見るか、安いと見るか。

専門の参考書って高いですよね。

しかし、すべてを網羅しここまで詳しく解説してある参考書は他にはないと思うので、確実に合格を狙っていきたい方におすすめです。

公務員試験 技術系〈新スーパー過去問ゼミ〉

出典:Amazon
こう

こちらは地方公務員専門試験におすすめ

過去問にそって要点をしぼり解説してあるので無駄なく勉強できます。

公務員試験技術系〈新スーパー過去問ゼミ〉は全3シリーズです。

シリーズ名工学に関する基礎土木土木「補習編」
画 像
出典:Amazon

出典:Amazon
補習編
出典:Amazon
内 容数学・物理構造力学・土質力学・水理学の3力がメイン土木計画、環境工学、衛生工学、土木材料、土木設計、土木施工
参考価格(税込)3,300円3,300円2,970円
商品リンク Amazon
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楽天
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Amazon
楽天
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土木職公務員試験 専門問題と解答シリーズ

公務員試験技術系〈新スーパー過去問〉は、問題が出回らない地方上級についても独自に調査して問題を復元してあり、地方公務員試験を受験するならこのシリーズをやり込んでおけば間違いなしです。

また、先ほどの「土木職公務員試験 専門問題と解答」よりわかりやすく解説してあるのが特徴。

ただ、解説は途中の式が飛ばしてあるので、数学が苦手な方はチンプンカンプンになります。

こう

なんでこれがこうなるの???みたいな感じになります。なのでぼく、分数から勉強し直しました(笑)

【まとめ】大丈夫!テキストで勉強すれば合格します

「専門試験って難しそう」と思われたかもしれませんが、勉強すれば必ず合格できます。

ただ、数学が苦手な方や物理をかじったことのない方は苦労します。ですが、分数の問題からつまずいていたぼくでも、一からひとつひとつ解き明かしていって合格することができました。

大丈夫です!

基本からしっかりと押さえて毎日コツコツとがんばっていきましょう!

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