日常の風景から消えた炎。
人類が火を使い始めたのは、今から75万年より前だと確認されています。
75万年と気が遠くなるような長き間、人類とともに歩んできた炎は、ここたった数十年の間に便利で安定した電気に代わりました。
しかし、電気に代わったからと言って、炎が与える安心感、温かみは人類のDNAから取り去ることはできません。
「炎を見るとなんだか落ち着く」のは、人類が文明を築き上げるためにDNAに刻み込まれた証なのです。
そこで今回この記事では、「なぜ焚き火が心の疲れを癒すのか」や「焚き火を始めとする炎を手軽に見る方法」を深堀してお話していきます。
自然界に溢れる「1/fゆらぎ」
「1/fゆらぎ」ってなんだ?と思った方も多いのではないでしょうか。
1/fゆらぎ(エフぶんのいちゆらぎ)とは、パワー(スペクトル密度)が周波数 f に反比例するゆらぎのこと。ただし f は0より大きい、有限な範囲をとるものとする。
ウィキペディアより
「ちょっと何言ってるか分からない」
某お笑いコンビのフレーズが聞こえてきましたね。
簡単に言うと、一定のリズムに見えて(聴こえて)実は予測のできない不規則なリズムのことです。
例えば
- 風の音
- 雨の音
- 炎のゆらぎ
- 小川のせせらぎ
- 波の周期
- 木目
- 鳥のさえずり、虫の鳴き声
- 電車の揺れ
- 鐘の共鳴音
などが代表的なところです。
1/fゆらぎは世界中で研究が進んでおり、高いヒーリング効果があることが科学的に証明されています。
具体的には、生物も1/fゆらぎをもっていることが発見され、人間の五感が外部の1/fゆらぎを感じ取ると内部のリズムと共鳴して自律神経が整えられ、精神が安定して活力が沸くと言われています。
焚き火をおすすめする理由
自然界にも1/fゆらぎは多く存在しています。ですが、周りに1/fゆらぎが存在しているからといって、勝手に癒されるわけではありません。
自分と自然界の1/fゆらぎを共鳴させるためには、意図的に意識を傾け集中する必要があります。
自然の1/fゆらぎを感じるには海や森に出かけることが一番手っ取り早い方法ですが、心が疲れているときは億劫に思うこともあり、なかなか難しい面もあります。
音楽でも1/fゆらぎを感じることは可能ですが、ただ音楽を聞くだけでは手持ち無沙汰で飽きてしまいます。
そこでおすすめなのが焚き火です。
「炎を見るとなんだか落ち着く」のは、視覚・聴覚・臭覚・味覚・触覚の五感のうち、視覚・聴覚・臭覚・触覚の4つの感覚が満たされるからです。さらに炎の温かみが疲れた心を包み込んでくれます。また、マシュマロを串にさして焼けば味覚としても感じることができます。
オレンジ色の炎は1/fゆらぎそのもの、パチパチとはぜる音、煙の匂いはなんだか懐かしく、薪の手触りや地面の感触、外の空気感は非日常を感じさせてくれます。
ひとりでも、みんなでも
ひとりの焚き火も乙なものです。
ひとりで目の前の焚き火と向かい合う。ただ薪をくべ炎を見つめ、自分との会話を楽しむことができます。
ひとりの焚き火は、内観や瞑想に近いものがあります。自分で自分のことを理解し、焚き火の持つヒーリング効果と合わせて自分を癒していく。そして心が軽く感じられるようになります。
みんなで炎を囲えばコミュニケーションが生まれます。
不思議なもので焚き火には人が集まってきて、多くの方がスマホから遠ざかります。みんなが炎を見つめ会話もほんの少し。それでも心と心が通い合います。炎がその場にいるものすべてを共鳴させてくれます。
焚き火は最強のコミュニケーションツールとも言えるでしょう。
焚き火があなたの居場所になる
誰かといても孤独だと感じる方も多いのではないでしょうか。自分の居場所を見失っている現代人は多くいます。
焚き火はそんな私たちの居場所になります。
焚き火があるだけで心が落ち着く、何事にもとらわれず自由になれる。たとえひとりでも、焚き火には私たちを孤独から解放してくれるパワーがあります。
キャンプ場に来るソロキャンパー(ひとりでキャンプを楽しむ人)は、焚き火を目的としている方がほとんどです。
自分で自分の居場所をつくる術をもった人ですね。最高の友は、自分自身の中にいます。
子ども心が蘇り、ストレスから解放される
現代に生きる私たちが接する1日情報量は、江戸時代の人たちの一生分だと言われています。そして、1日に3万5千もの選択をしているそうです。その選択はどんなものでもあっても私たちにストレスを与えます。
この情報量や選択に加え、人間関係や金銭面の問題など不安や恐怖にいつも晒されています。
焚き火をしている間は、情報や選択をシャットダウンしてくれます。ただ目の前に炎があるだけです。そして、癒されるのと同時に、子ども心のようなワクワク感を思い出すことができます。
子どもは立場も肩書きもなく、ひとりの自分として好奇心と楽しさ、面白さに生きています。そんな子ども心を大切にすることで、より人生を豊かなものにできるでしょう。
焚き火以外で手軽に炎を見る方法
私がおすすめするのは、あくまで焚き火です。
しかし今は、手軽に庭先で焚き火をすることは難しいです。広い庭やすぐ近くに焚き火が可能な公園やキャンプ場、海などがあればいいのですが、なかなか都合よい場所はありません。
住宅街で焚き火をすると臭いや煙が近所迷惑になったり、炎を見た住民に通報されたりします。
なので、焚き火以外で炎を楽しむ方法を考えてみましょう。
煙の発生が抑えられる「薪ストーブ」
薪ストーブは愛好家がいるほど人気で、いまは軽くてコンパクトなタイプも販売されており、キャンパーの間でも必須のアイテムとなりつつあります。
薪ストーブの構造はシンプルですが、煙まで燃やしてしまう二次燃焼効果と煙突効果による燃焼効率の向上で、燃焼が安定すると煙の発生はほとんどなくなります。また、囲まれているので火の粉が飛んだり、炎が広がったりする心配がありません。
また、災害時の防災用品としても活躍します。
住宅密集地では難しいかもしれませんが、となりの家と距離がある場合や広めの庭がある場合は薪ストーブを楽しめるかもしれません。
私のおすすめ!ホンマの3面耐熱ガラス付薪ストーブ
薪が手に入らない方には人工薪がおすすめです。
室内、ベランダでも楽しめる「オイルランタン」
灯油、マッチがあれば手軽に炎が楽しめるオイルランタン。
しかもオイルランタンは安いものだと2,000円代で購入できるので、試しに炎セラピーを始めるにはちょうどいいと思います。
部屋の電気を消して、オイルランタンのホワッとした暖かい灯りでお酒を楽しむのも心が癒されます。
室内で使う場合、灯油だとススが少し気になりますが、オイルランタン専用のパラフィンオイルを使えばこの問題は解消されます。
私も使ってるキャプテンスタッグのオイルランタン!パラフィンオイルもセットで参考価格5,228円(税込)
もっと手軽な「キャンドルランタン」
ロウソクだけあれば炎は楽しめますが、ランタンがあるほうが雰囲気がでますし安全です。
明るさはオイルランタンには劣るものの、炎を眺める炎セラピーには十分です。
寝る前の30分~1時間、ぼーっと炎の1/fゆらぎを感じるだけでよく眠れます。中のキャンドルを市販のアロマキャンドルに交換すれば、アロマの香りも楽しめてヒーリング効果もアップしますね。
私のおすすめ!シンプルで丸いデザインのキャンドルランタン 参考価格:2,280円(税込)
普段の生活に炎セラピーを
炎から離れた現代社会。
太古よりともに歩んできた炎の文化、そして炎により発展してきた文明。
いま私たちが忘れかけている大切な何かを思い出させてくれるかもしれません。いまの時代だからこそ、炎に目を向けてみる。炎に癒される「炎セラピー」を生活の一部に取り入れてみませんか。
「炎を見ると何だか落ち着く」
この大切な感覚を思い出しましょう。