「正しい避難行動できますか?」災害で命を落とさない避難行動の3つのポイント

残念なことに、命を守るための避難行動で、命を落とす事例はたくさんあります。

台風の最中に避難しようとして増水した川に流された、避難場所へ行ったのに津波に襲われたなど、災害が起こるたびにこのような悲惨なニュースが聞こえてきます。

避難とは命を守るために大切な行動ですが、一瞬の判断ミスや認識不足で命を落とす結果に繋がります。

ではどうしたらよいのでしょうか?

正しい避難行動には「基準、知識、判断」が必要不可欠です。

常に私の居るところは安全なのか、危険なのか、危険ならどうしたらよいかを自分のアタマで考える必要があるのです。

今回この記事では、災害が発生しそうな時、災害が発生した時に、どのような避難行動をとればよいのかポイントをお話します。

目次

避難行動の判断基準を設定する

避難行動の基準は、今いる場所、災害の種類によって異なります。

海沿いの地域なら津波、山沿いの地域なら土砂崩れ、川沿いの地域なら河川の氾濫など、場所や災害の種類で避難行動を考える必要があります。

避難行動の基準の基になるのが、気象庁の発表する「防災気象情報」と各自治体が発表する「避難情報」です。

気象庁が発表する防災気象情報

気象庁が発表する情報には、大雨や高潮など、予め予測できる「防災気象情報」と地震や津波に関する「地震、津波情報」があります。

防災気象情報

  • 早期注意情報(警戒レベル1)
  • 注意報(警戒レベル2)
  • 警報(警戒レベル3)
  • 特別警報(警戒レベル4~5)
出典:気象庁

地震、津波情報

  • 緊急地震速報
  • 南海トラフ地震臨時情報
  • 大津波警報
  • 津波警報
  • 津波注意報
出典:気象庁
出典:気象庁

自治体が発表する避難情報

災害の発生が予想される場合や、災害がすでに発生している可能性が極めて高い状況において、各自治体から「避難情報」が発表されます。

自治体が発表する避難情報は、気象庁の防災気象情報の警戒レベルを基に、各地域の状況、避難に必要な時間等を考慮して発表されるものです。

  • 警戒レベル3:避難準備・高齢者等避難開始
  • 警戒レベル4:避難勧告・避難指示(緊急)
出典:首相官邸

<注意!2021年5月20日から避難情報が変更になりました。詳しくは下の記事へどうぞ>

場所、状況に合わせ柔軟に基準を設定する

各自治体が発表する「避難情報」には強制力はなく、自分自身で基準を設けることが大切です。

例えば、離れた所にある河川が氾濫するかもしれない場合、お住いの地域で避難指示が発表されても自宅にいるほうが安全な場合もあります。

ですから、避難指示が出たとしても必ず避難する必要はないのです。

警報などの防災気象情報や避難指示などの避難情報をうまく掛け合わせ、今、自分のいる場所が安全なのか、危険なのかの基準を持っておくことが大切です。

しかし、気を付けなければならないのが、防災気象情報や避難情報があなたにとって適切なタイミングで発表されないかもしれないことです。

警報も避難情報も出ていないのに、あなたのいる場所に災害が発生するかもしれません。

もちろん情報も大事ですが、情報だけに頼るのではなく自分のアタマで考え、自分の避難基準を設定することが大切なのです。

南海トラフ巨大地震で発生する津波は、早い所で2、3分で到達する予測が出ています。これは津波情報が発表されるころにはすでに津波が到達しているかもしれないということ。津波の危険がある地域では「強い揺れを感じたらすぐに逃げる」など自分の基準が生き延びるカギとなります。

生き延びるための知識を習得する

次に避難に関する知識のお話をします。

あなたは災害が発生しそうなとき避難すると思います。

しかし、その避難の道のり、避難場所(避難所)は本当に安全なのでしょうか?

ここで考えて頂きたいのは、「避難=安全」ではないということ。

決して避難しなくてもいいとは言ってません。どの経路でどこに避難するかが重要なのです。

東日本大震災で発生した津波で、石巻市大川小学校の先生と生徒がたくさんの命を落としました。

これは、津波に対する知識がなかったことでおきた悲しい犠牲です。もしその場にいた先生でも、迎えに来た親でも、その中に正しい知識を持った人間がいれば助かったかもしれません。

避難に時間がかかったことはもちろん、避難する経路、避難する場所が適切ではなかったことが原因です。

各市区町村で決められた避難場所、避難所が必ずありますが、避難場所などに指定されているからと言って安全ではないことをアタマに入れておく必要があります。

私の住んでいる地域では、避難所に指定してある公民館は自宅より海側にあり、海面からの高さもほとんどありません。ハザードマップを見たら津波想定浸水域からは外れていますが、高さ3mの津波が到達したら間違いなく飲み込まれることでしょう。

このように、避難場所や避難所がすべて安全とは言えないのです。

また、避難場所や避難所が安全であっても、そこに行くまでのルートが安全だとは言えません。

過去には避難しようとして、氾濫した河川に流され死亡したケースなどがあります。

ですから、大雨や高潮、河川の氾濫、土砂崩れ、地震、津波など、多くの災害に対して、避難する必要があるか、避難するならどこに行くか、その避難場所(避難所)は安全か、行くまでの経路は安全かなどについて、生き延びるための知識を習得する必要があるのです。

津波の遡上高って知っていますか?遡上高とは、津波が到達する高さのことを言います。津波の遡上高は最大で津波の高さの4倍になることも。5mの津波なら海抜20mまでの高さまで到達する可能性があるのです。ですから、津波の予測高さが5mの場合には20mよりも高い場所に避難する必要が出てくるのです。

出典:宮古島市

自らの判断で最善の安全確保行動を

自分の基準や災害に対する知識を得たら、最後は避難の判断です。

避難することが安全なのか、留まることが安全なのか、避難するならどのタイミングで、どこに、どの経路で行くのか、自宅に留まるにしても、家のどこが安全なのかなど、その判断を行うのは他の誰でもなく自分自身です。

確かに直感で行動し助かる人もいます。ですが反対に亡くなる人もいます。

この違いはなんだと思いますか?

これは直感と言えども、災害に対する基準や知識が潜在的に備わっているか、いないのかの違いなのです。

やはり判断を行うには、「基準・知識」が必要だということがわかります。

判断のタイミングも重要です。

暗くなるまでに避難するのか、暗い中でも避難するのかによってもリスクは違ってきます。

また、避難の基本は、危険な場所から離れる「水平避難」ですが、切迫した状態では自宅の2階など、なるべく高い所へ避難する「垂直避難」も考慮すべきです。

災害が発生しそうな時、災害がすでに発生している時に、自らの判断で、その時点で最善の安全確保行動をとることが大切なのです。

まとめ

避難とは、命を守るために大切な行動ですが、一瞬の判断ミスや認識不足で命を落とす結果に繋がります。

得た情報を鵜呑みにせず、自分のいる場所に合わせて基準を持ち、災害にに対する知識を身に付け、自分の判断で最善の避難行動をとれるように日頃から意識することが大切です。

近年、大規模災害が多く発生しています。いつあなたの身に降りかかるかわかりません。

もう他人事では済まされないのです。

自分自身の命、大切な家族の命を守れるよう、今からでもきっちり備えておきましょう。

<命を守るためには事前の準備が不可欠です>

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