もし大地震が起こったとき、適切な行動をとれるか、とれないかでは生存率に大きな差が生まれることは確かである。
これは自分自身の命だけではなく、家族の命や周囲の人々の命をも左右することになる。
まずはこの記事を見ている「私たち」が地震発生時の行動を知り、身に付けることがとても重要になるのである。
あなたの一瞬の判断、そして行動が「家族や周辺の人々の命」を守ることになるのである。
地震の大きさ、被害にもよるが、地震発生から避難開始までの時間割の例は下記の表の通りとなる。
<地震発生から避難開始までの時間割>
地震発生 0分~2分 | 身を安全 を守る | ・テーブルの下にもぐる ・落下物から頭を守る ・固定していない家具から離れる ・料理中ならキッチンから離れる ・外なら建物から離れ頭を守る |
地震直後 2分~5分 | 火の始末 避難準備 | ・揺れがおさまったら、火の始末 ・小さい火のうちに消火 ・ケガをしないよう靴を履く ・ドアを開けるなどして出口を確保 |
5分~10分 | わが家の 安全確認 | ・沿岸部なら、すぐに高台へ避難 ・家族の安否確認 ・ガスの元栓を閉める ・電気のブレーカーを落とす |
10分~半日 | 隣近所の 安否確認と 助け合い | ・となり近所の安否確認 ・火災が起きていないか確認 ・協力しあって救出救護 ・安全な場所へ避難 |
今回この記事では、地震発生から避難までの取るべき行動を防災士教本を基にお話していく。
<この記事の内容は>
- 知識がなければ行動できない
- まずは身の安全を守ることに専念する
- 被害の拡大を防止する
- 脱出出口を確保
- 安否確認と救出
- 余震や津波に注意
- 避難の準備
- 屋外などでの行動
地震発生時、知識がなければ行動できない

少し大きい地震が起きると、体が硬直して動けなくなる。地震を経験したことのある方なら体感していることであろう。
震度5弱を超えるような地震の場合は、揺れが収まったあとも「何をしていいのか分からない」状態となり、呆然と立ち尽くすかパニックになった人々の危険な行動に流されてしまうか、はたまた「自分は大丈夫」などと根拠のない「正常性バイアス」に陥ってしまう人がほとんどである。
このように正しい判断や行動ができないのは知識が乏しいからである。
人は知識がない物事は認識できない。ゆえに行動ができない。
だから正しい知識を身に付けることが重要であり、その場に合わせた判断力と行動力が命を左右するのである。
まずは身の安全を守ることに専念する
地震によるケガや犠牲の多くは、揺れの真っただ中に発生する。
先ほどもお話した通り、地震が起こると体が硬直して動かなくなる。自分が今いる所は安全なのか危険なのかを一瞬で判断して身を守らないと命を失うことになりかねない。
昔は地震を感じたら「火を消せ」と言われてきたが、現在の都市ガスやLPガスは震度5弱以上の揺れを感知すると自動的にガスの供給を遮断して火が消えるようになっている。
逆にあわててガスコンロの火を止めようとすると、かえって熱湯や油が飛び散るなどしてヤケドなどをする危険が高まる。
私も「鳥取県中部地震」で震度6弱を体験したが、実際、大きな揺れの最中は「何もできない」ことがほとんどであるため、なにはともあれ「自分の身を守る」ことに専念することが重要である。

<地震の揺れを感じたら>
- 丈夫な机の下に隠れる
- 重たい家具から離れる
- クッションや座布団や枕で頭を守る
- 料理中ならキッチンから離れる
揺れを感じてすぐ屋外などへ飛び出すと、転倒の危険はもちろん上から瓦や外壁、看板などが落ちてくる可能性がありる。屋内にいる場合は丈夫なテーブルの下や物が落ちてこない、倒れてこない、移動してこない場所に身を寄せ、揺れが収まるまで様子を見る。
被害の拡大を防止する
地震と同時に起こりやすい災害と言えば「火災」である。
揺れがおさまったら忘れずに火の始末をすることが、次の被害を抑える要となる。
出火しても大きく燃え上がるまでには2、3分の時間があるので、小さい火のうちに消し止めることが重要になってくる。
また電気のブレーカーを落として「通電火災」を防止することも重要である。
<揺れがおさまったらすること>
- ガスの火を止める
- 石油ストーブの火を消す(燃えるものが近くにないか確認)
- 電気のブレーカーを落とす
大きな地震がおこると停電になる。電気ストーブなど熱を出す器具が倒れたままの状態で避難などをしてしまうと、停電が解消された場合に再び通電して火災が起こる。
<通電火災を防止するため気を付けること>
- 使用中の電気器具のスイッチを切る
- コンセントからプラグを抜く
- 避難するときはブレーカーを落とす
脱出出口の確保
揺れが大きいとドアが変形して開かなくなることがある。
揺れが収まり、靴を履くなどして身の安全が確保できたら、ドアや窓を開けて出口を確保する。
揺れがおさまった後は割れた食器や窓ガラスの破片が飛び散っている可能性がある。素足で歩くのは危険であるため、必ず靴を履く。
安否確認と救出
揺れがおさまったら、大きな声を出してお互いに安否を確認する。
万一、家具などの下敷きになっている人がいるときは、みんなで協力して救出する。

余震や津波に注意
大地震の後には必ず余震が起きます。本震で不安定になった家具などが余震で倒れることもあり、危険を取り除くか近寄らないようにする。
また外のブロック塀や屋根の下、看板の下には近寄らないようにする。
海岸近くでは揺れが小さい場合でも津波警報等の発令を待たずにすぐに高台に避難することが重要である。
避難の準備
緊急時持ち出し袋を取り出して避難の準備をする。
家族が離ればなれの時や知人らが安否確認に訪れたときのために、玄関に避難先、連絡先を書いたメモを残しておくとよい。

屋外などでの行動
街の中にいる場合
繁華街やビル街で地震に遭遇したときは、まず「落下物から身を守る」ことが重要である。
地震で窓ガラスが割れたとき、ガラスの破片はビルの高さの半分くらいまでの距離まで飛散する危険がある。
カバンなどで頭を守りながら、安全な広い場所まで避難する。
近くに新しいコンクリートの建物がある場合は、建物内に避難してもよい。だが古いビルなどは崩れるおそれがあるので危険である。
またブロック塀や自動販売機、電柱などには近づかないようにする。

自動車を運転中の場合
地震の揺れを感じたら少しずつスピードをおとして、路肩に寄せてエンジンを切る。
駐車場や空き地などが近くにあるときは、そこに移動する。
カーラジオで地震情報などを入手し、車を置いて避難する場合は窓をしめ、エンジンキーはつけたまま、ドアはロックしないようにする。
地下街にいる場合
地下は地上に比べ比較的安全と言えるが、天井や照明器具が落下する恐れがあるため、太い柱に身を寄せて頭をカバンなどで守る。
このとき頭とカバンとの間に10cm程度の隙間を作ることで、クッションとなり落下物からの衝撃を和らげることができる。
ビルや高層マンションにいる場合
大地震がおこるとエレベーターが使えなくなる。
エレベーターに乗っていた場合は、揺れを感じたらすぐにすべての階のボタンを押し、停止した階で降りる。
非常階段がある場合は、揺れがおさまったら非常階段で避難する。
だが超高層マンションやビルでは、エレベーターが使えなくなると下へ下りられなくなる。
高層階に住む人は当分の間、自力で生活できる水、食糧を確保しておく必要がある。
また高層階では揺れが大きく長く続きやすい傾向にあり、これを「長周期地震動」と呼ぶが、この揺れは家具などが縦横無尽に動き回り大変危険である。
揺れがおさまるまでテーブルなどの下にもぐるなどして待つようにする。
まとめ
地震が発生した場合どう行動するかを一瞬で決めなくてはならない。さらにこの「一瞬の判断」を誤ると命が危険に晒されることになる。
普段から「今、地震がおきたらどう行動するか」を考えておくことが大切である。
ぜひ皆さん、日頃から防災意識を頭において、いざというときに行動できる知識を身につけてください。
<災害への備え編>
